2011 Fiscal Year Annual Research Report
地理データと大気データを含む包括的環境要因と検診成績との関連
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21590700
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
近藤 久義 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00170431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三根 真理子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00108292)
柴田 義貞 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40010954)
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Keywords | 疫学 / GIS |
Research Abstract |
本研究は、長崎市内に居住し、1998年から2007年の間に原爆被爆者定期検診を5回以上受診していた原爆被爆者21,815名(男7,954名、女13,861名)の定期検診成績の個人別の平均値や増加(減少)傾向や愁訴の有無と喫煙・飲酒などの生活習慣、病院などの最寄り施設までの距離などの地理的要因、大気観測値との関連を重回帰モデルおよびロジスティックモデルを用いて評価するものである。前年度までに、地理的要因では、内科医院までの距離が大気観測値ではSPM(浮遊粒子状物質)が検診成績と関連するという結果が得られていた。 今年度は、専門家の提言に基づき長崎市の地理的特性(傾斜地が多い)を考慮するために標高値と幹線道路までの距離を追加するとともに大気観測値にもSO_2(二酸化硫黄)とOX(オキシダント)を追加して、再解析を行った。 喫煙は、白血球数の増加および増加傾向を始め多くの検査値と関連していた。飲酒も、血圧や肝機能検査値の上昇など複数の検査値と関連していた。地理的要因では、内科医院までの距離が遠くなるほど血色素量の低下と肝機能検査値の上昇が認められた。今年度追加した標高値と検査値との関連は観察されなかったが、OXは赤血球数の減少および肝機能検査値の上昇と関連していた。愁訴は喫煙による増加傾向が観察されたが、地理的要因および大気観測値との関連は観察されなかった。 個人の検査値(健康状態)には、喫煙や飲酒などの影響が大きいと考えられる。しかしながら、内科医院が近くにあると検査値が好ましい傾向にあることが観察され、環境要因が影響する可能性も示唆された。最近では、food desert問題を始めとして、環境要因の個人の健康状態への影響に関心が高まってきている。また、GISに関しても、より高度な解析を比較的容易に行える環境が整備されてきており、今回、考慮しなかった地理データも含めたより広範な環境要因と健康に関する研究が必要であると思われる。
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