2010 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・キャピタルと心的外傷後ストレス障害の回復に関するマルチレベル分析
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21590702
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
本田 純久 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90244053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 亜由美 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (50346938)
今村 芳博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 研究員 (90315242)
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Keywords | 社会医学 / ストレス / 統計数学 / 社会福祉関係 / 疫学調査 / 国際研究者交流 / スリランカ |
Research Abstract |
本研究の目的は、津波に被災したスリランカ南部のMatara地域において疫学調査を行い、地域のソーシャル・キャピタルが心的外傷後ストレス障害の発症と回復に与える影響について明らかにすることである。津波の被災体験は、特に高齢者に対して大きな精神的影響を与えることが懸念されている。本年度は、Matara地域に住む60歳以上の高齢者90人(男43人、女47人)を対象に、被災体験や被災状況と心的外傷後ストレス障害の関連を分析した。心的外傷後ストレス障害の評価にはImpact of Event Scale改訂版(IES-R)を用いた。その結果、津波被災時に家にいた人、死者や負傷者を目撃した人、避難が遅れた人、家族や友人が負傷した人、本人が負傷した人、子どもや配偶者または家族を失った人、家族が行方不明になった人、津波により生計を失った人でIES-Rスコアが有意に高く、津波の被災体験が高齢者の精神的健康状態に影響を及ぼすことが示唆された(Nomura et al.,2010)。現在は、地域における社会的サポートや社会的ネットワーク、住民相互の信頼感や助け合いの規範といったソーシャル・キャピタルが心的外傷後ストレス障害の発症や回復に及ぼす影響について分析を行っている。2010年7月と10月にスリランカを訪問し、ルフナ大学人間社会科学部のSarath Amarasinghe教授を中心とする現地の研究グループと研究に関する打ち合わせを行った。
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Research Products
(2 results)