2011 Fiscal Year Annual Research Report
チェルノブイリ周辺住民の放射線リスク認知に及ぼす要因
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21590703
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
柴田 義貞 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40010954)
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Keywords | チェルノブイリ / 放射線 / リスク認知 |
Research Abstract |
平成21、22年度に集めた、キロヴォグラド、オデッサ、リヴン、ジトミール、キエフ、ドネツクの6州とスラヴチ市の子ども(高校生・大学生)2391人(男989人、女1402人)と親(父親385人、母親1123人)のデータを分析した。居住地の汚染度居住地の汚染状況を(1)非常に綺麗、(2)ほとんど綺麗、(3)まずまず、(4)汚い、(5)非常に汚い、の5段階で評価させた。子どもでは18%が(1)、(2)と回答し、36%が(4)、(5)と回答したが、親での割合は、それぞれ9%、48%であり、親の評価の方が厳しかった。子どもと親ともに、評価に有意な地域間差が認められた。信頼できる専門家(イ)ジャーナリスト、(ロ)医療職、(ハ)科学者、(ニ)地方行政官、(ホ)外国人専門家、(ヘ)両親・隣人、(ト)環境保護主義者、(チ)教師・教授のうち信頼できる人を複数可で挙げさせた。各地域で、子どもと親の評価には大差はなく、(イ)(ニ)、(ヘ)、(チ)を信頼する者は数パーセントと極めて低く、(ロ)、(ハ)、(ホ)に対しても信頼する者の割合は高くなかった(それぞれ、20%台~30%台、40%前後、10%台~20%台)。(ト)環境保護主義者を信頼する者の割合がもっとも高かったが、それでも50%前後であった。(イ)と(ニ)を除き、信頼する者の割合は子どもと親いずれにおいても有意な地域間差が認められた。放射線リスク認知の要因分析放射線事故および屋内ラドンのリスクの5段階評価において、かなり危険、大いに危険、極めて危険と評価した者の割合について、性と地域を共変量としてロジスティック回帰分析を行った。子どもと親のいずれでも、放射線事故、屋内ラドンのいずれのリスクについても女の方が男よりも認知割合が有意に高かった。スラヴチ住民の認知割合は、放射線事故、屋内ラドンともに、子どもも親も他の地域に比して低かった。
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Research Products
(10 results)