2010 Fiscal Year Annual Research Report
血清イソフラボン、血清アディポネクチンと子宮体部がん・卵巣がんリスクの検討
Project/Area Number |
21590705
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
坂内 文男 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (60325868)
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Keywords | コホート研究 / コホート内症例対照研究 / 血清疫学 / 子宮体部がん / 卵巣がん / イソフラボン / アディポネクチン / 大豆食品 |
Research Abstract |
「目的」大規模コホート研究Japan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer Risk (JACC Study)のベースライン調査(1988-1990年)において、収集され、-80℃にて凍結されている血清を用い、血清イソフラボン類およびアディポネクチンと卵巣がん、子宮内膜がんのリスクとの関連を検討した。「対象と方法」対象はJACC Studyにおいて2003年までの追跡により、保存血清を有する卵巣がん症例及び子宮内膜がん症例と、これら症例1例に対し、年齢・調査地区をマッチさせた対照1例を選択し、コホート内症例対照研究を実施した。平成23年3月までに卵巣がん症例20例と対照20例、子宮内膜がん症例20例と対照20例の測定が完了している。なお、イソフラボン類およびアディポネクチンの測定は経費節約等の観点から外部に委託して行った。「結果と考察」卵巣がんについては、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテイン、エクオールの4種類のイソフラボン類、及びアディポネクチンの血清濃度は症例と対照の間に有意な差はみられなかった。しかし、卵巣がんリスクとの関連では、エクオールのみがリスクと負の関連を示し(オッズ比OR 0.7,95%信頼区間CI 0.1,4.0)、量反応関係も示唆された(trend P=0.7)。また、エクオールはダイゼンインの代謝物であるのでエクオール/ダイゼイン比を求め、卵巣がんリスクとの関連を調べたところ、負の関連(OR 0.2,95%CI 0.02,1.6)および量反応関係が示唆された(trend p=0.11)。最近、個人ごとにエクオール産生能は異なることが報告されている。今回の研究からは、リスク低下のためには大豆食品の摂取頻度のみならず、摂取者にエクオールが産生されるか否かが重要であることが示唆された。なお、子宮内膜がんについては、現在解析中であるが、卵巣がんと同じくエクオールがリスクと負の関連が持つ傾向が得られている。
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