2011 Fiscal Year Annual Research Report
エビデンスに基づく医療コミュニケーションモデルの構築:質的研究と疫学的検証
Project/Area Number |
21590708
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小嶋 雅代 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (30326136)
|
Keywords | 関節リウマチ / 医師-患者関係 / 質的研究 / 疫学研究 / フォーカスグループ / QOL |
Research Abstract |
本研究の目的は、関節リウマチ(RA)患者とその主治医を対象として、良好な医師-患者関係の構築に必要な要因を、質的研究と疫学的研究手法を用いて多方面から評価・分析し、日本人のエビデンスに基づく医療コミュニケーションモデルを提案することである。限られた診療時間の中で、患者・医師双方に満足度の高い医療を実現するためのコミュニケーションスキル・トレーニングツールの開発をめざす。 平成23年度は本研究の3年目にあたる。平成22年度に実施したRA患者を対象とした調査(調査参加者103人)では、全体として臨床検査データが改善しており、特に生物学的製剤治療を受けている患者とそれ以外では、改善度に有意差が見られた。4回のフォーカスグループによるRA患者のインタビュー調査(調査参加者35人)においても、生物学的製剤治療を受けている患者は、従来の治療薬にない目に見える効果を実感していた。また、多くの患者が診断直後はRAであることを受け入れられず苦悩することや、治療に関する情報について、医師の話だけでは十分理解できず、患者仲間やインターネット、新聞・雑誌を通し、個々の患者が自分のニーズにあった情報を得ようと努力していること、医師と良好なコミュニケーションを取るために、予め聞きたいことをリストアップするなど工夫していることが分かった。 本年はこれまでの結果をまとめながら、医師と患者の意識との相違点について探索することを目的として、医師を対象としたインタビュー調査を2回実施した。RA診療に従事する膠原病内科医師4名と整形外科医師5名が調査に参加し、(1)生物学的製剤治療の登場が医師患者関係に与える影響、(2)初期治療を円滑に進める上での留意点、(3)患者評価と医師の評価とのずれの3点について、60分ずつ語り合った。生物学的製剤の登場は医師の意識にも変化を与えており、以前より自信をもって患者に接することができるようになったと感じていることが分かった。さらに詳しい内容について、現在分析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたよりも、インタビューデータの分析に時間を要した。また、医療施設の種類・規模により、医師と患者の特性、意識に大きな違いがあることが分かったため、さらに異なる医療施設におけるインタビュー調査が必要となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、一般クリニックでRA診療に従事する医師および受診中のRA患者を対象にインタビュー調査を行う。 これまでのデータを分析した結果をまとめ、論文化する。また分析結果から、RA患者・医師双方が満足度の高い医療を実現するために必要と思われる項目を抽出し、自記式調査票を作成し、来年度の大規模疫学調査の準備をする。
|
Research Products
(6 results)