2011 Fiscal Year Annual Research Report
サプリメントの胎児に与える影響とそれを予測する方法の確立
Project/Area Number |
21590710
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
永井 総子 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (80118877)
|
Keywords | サプリメント / 薬物代謝酵素 / 胎児肝 / BeWo細胞 / GSTP |
Research Abstract |
妊娠17日齢ラットにクエルセチンを40mg/kgを1日1回3日間腹腔内投与し、24時間後に親ラット肝、胎児肝および胎盤を摘出し、可溶性分画やミクロゾーム、さらに摘出臓器からmRNAを調製し、ウエスタンブロット分析により酵素蛋白の発現、RT-PCRにより遺伝子発現を確認した。酵素蛋白による解析から投与群では、親ラット肝のグルタチオンS転移酵素(GST)分子種のうちGSTPの発現が顕著に増加し、さらにGSTαの増加およびGSTμの減少が確認された。胎児肝ではGSTPは増加していたがGSTαおよびGSTμはまだ蛋白発現が十分行われていないためか観察されなかった。胎盤ではGSTPが顕著に増加していた。さらにRT-PCRを行うと、GSTP遺伝子は特に胎児肝と胎盤の発現が顕著に増加し、親の肝ではGSTPとGSTαは増加、GSTμは減少し酵素蛋白と同様の結果を得た。さらに投与群の胎児肝ではcytochrome P450(CYP3A1)遺伝子発現に顕著な増加が確認されたが、一方胎盤に発現しているトランスポーターのmRNA発現は顕著な変動は観察されなかった。これらの結果と昨年度明らかにした投与群の胎児体重の減少から、クエルセチンは胎児に影響を及ぼしていることは明らかである。さらに胎盤に発現しているGSTPを指標の一つとして捉えて、胎児の影響の検討に胎盤の結果から推察できる可能性が示唆された。次いで胎児への影響を予測する方法としてヒト培養細胞で検討した。 ヒト胎盤絨毛癌由来のBeWo細胞で検討を行った。培養液にクエルセチンを10または5μg/mlを添加して培養し、24または48時間後にmRNAを抽出してRT-PCRで検討した。GSTPは5μg/ml添加培養後24時間ですでに発現の増加が観察された。一部のトランスポーターでは10μg/ml添加24時間で増加が確認された。
|