2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590712
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
鶴ヶ野 しのぶ 帝京大学, 医学部, 助教 (10359630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 まり子 帝京大学, 医学部, 助教 (20508048)
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
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Keywords | 雇用形態 / 非正規雇用 / 健康影響 / 疫学研究 / 主観的健康感 / 健康診断 / メンタルヘルス / 喫煙 |
Research Abstract |
今年度は昨年度に引き続き、労働者の雇用形態と健康に関する既存研究のレビュー、雇用形態と健康に関する既存のデータを用いた解析研究、および関連学会活動や社会的啓蒙を行った。具体的成果は以下1)~7)の通りである。 1) 雇用形態と健康に関するレビュー論文として産業衛生領域の学術雑誌に発表した(現在印刷中)。また、雇用形態の多様化がもたらす健康影響を明らかにするため、前年度に引き続き厚生労働省より目的外使用の承認を受けた国民生活基礎調査の多年度データ(昭和61年、平成元年、4年、7年、10年、13年、16年、19年度)を用いた疫学研究を継続し、2) 平成19年度データを用いた研究により非正規雇用者は、正規雇用者と比較して不安・抑うつや喫煙などのリスクが高く、健康診断やがん検診が未受診であるリスクが高いことを明らかにした(投稿中)。3) 平成13,16,19年度の多年度データを用いて、2000年度前半の非正規雇用の増加に伴い労働者全体の健康状況(主観的健康感、有症率および受療率)が悪化していることをAge-Period-Cohortモデルを用いて明らかにした(投稿中)。また、4) 労働者のメンタルヘルス(心身の症状、精神疾患の受療率)は男性正規雇用者で顕著に悪化しており、この間労働者は経済的問題を強いストレスとして自覚するようになった、との知見が得られた。さらに某事業所の健康管理データを用いて、5) 任期付労働者の自覚する仕事ストレス(Effort-Reward Imbalance)は正規雇用者のストレスとは質的に違いがあり、それらにより事業所内のメンタルヘルス相談室の利用状況にも違いが生じていることを学術雑誌に発表した。これらの知見は関連学会においても発表を行い、雇用形態の多様化に適応した産業保健活動のあり方を立案する目的で、6) 平成22年5月に「第3回非正規雇用研究会」を開催して上記の研究結果を報告し、国内外の研究者と今後の研究発展について協議した。さらに、非正規雇用労働者の健康問題を広く社会に啓蒙する目的で、7) 「非正規雇用と労働者の健康 第2版」(財団法人労働科学研究所)の執筆を行い、本研究者らおよび国内の労働衛生の専門家による最新の知見を集め、平成23年5月に刊行予定である。
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Research Products
(8 results)