2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590715
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
柳澤 裕之 Jikei University School of Medicine, 医学部, 教授 (10200536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮越 雄一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00343533)
小林 浩 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20118631)
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Keywords | 亜鉛 / 老化 / 酸化ストレス / 発癌 / 血圧 |
Research Abstract |
亜鉛は約300余種の酵素の活性中心元素として働いている必須微量元素である。現在、亜鉛の必要量に対する一日摂取量は不足していることが報告されている。近年、必須微量元素欠乏、特に亜鉛欠乏は、老化や生活習慣病に深く関係していることが明らかにされつつある。そこで、本研究では、老化によって促進される発癌が、亜鉛欠乏でも促進されるのかどうか、変異原性試験を用いて検討すると共に、その機序についても究明した。標準食あるいは亜鉛無添加食をラットに等量ずつ6週間与え、標準食ラットモデルあるいは亜鉛無添加食ラットモデルを作製し、骨髄の小核誘発頻度を測定した。標準食ラットに比し、亜鉛無添加食ラットでは、時間依存的に小核誘発頻度が上昇した。亜鉛無添加食ラットに4週間亜鉛を添加すると、上昇した小核誘発頻度は標準食ラットレベルまで低下した。また、亜鉛無添加食ラットに活性酸素消去剤であるテンポールを食事療法の終了前に10日間投与すると、亜鉛無添加食ラットで観察された小核誘発頻度の上昇は、亜鉛添加と同様に標準食ラットレベルまで復帰した。さらに、酸化的DNA損傷のマーカーである骨髄中8-OHdG濃度も標準食ラットに比し、亜鉛無添加食ラットで有意に上昇していたが、亜鉛添加及びテンポールの投与で標準食ラットレベルまで低下した。以上の結果から、亜鉛欠乏は小核誘発の亢進及び8-OHdG濃度の上昇を引き起こすが、その機序は亜鉛欠乏の結果増加した活性酸素に起因することが示唆される。従って、亜鉛欠乏は、酸化ストレスを介して発癌リスクを上昇させる病態であると考えられる。
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Research Products
(8 results)