2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規2色蛍光高感度検出法の開発とE型肝炎ウイルスの社会における循環様式の解明
Project/Area Number |
21590725
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Research Institution | Hokkaido Institute of Public Health |
Principal Investigator |
石田 勢津子 北海道立衛生研究所, 感染症センター・感染症部, 主査(腸管系ウイルス) (70414315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澄 志磨 北海道立衛生研究所, 感染症センター・感染症部, 研究職員 (90414317)
三好 正浩 北海道立衛生研究所, 感染症センター・感染症部, 主査(ウイルス感染症) (50414321)
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Keywords | E型肝炎ウイルス / ウイルス検出 / 感染症 |
Research Abstract |
E型肝炎ウイルス(HEV)は経口感染する病原体である。E型肝炎は流行地域ではない国々では散発程度ではあるが、輸入例以外に土着のウイルスを原因とする症例も見出されている。E型肝炎は人獣共通感染症であり、ブタや他の動物がウイルスを保有していることも示されている。日本国内で検出されるHEVはG3とG4に分類される。本研究では、新規蛍光高感度検出法の開発と、E型肝炎ウイルスが、推定される保有動物や環境検体中に存在するかどうかを、さらにはヒト臨床検体由来のウイルスとの類似性をもとに、伝播の可能性を調査することを目的とした。23年度はヒト臨床検体と推定保有動物、環境検体について、RT-PCRによるHEV検出を行いORF2領域の塩基配列を分子疫学的に解析した。E型肝炎患者または無症状病原体保持者として届けられたヒト由来の検体、食肉検査所や保健所から回収したブタ肝臓、処理施設からのエゾシカ肝臓を解析した。環境検体として、下水、河川水、海水、その海域の調査用カキを1セットとして、2つの異なる地区から定期的に回収した検体を使用した。ORF2領域塩基配列の分子疫学的解析により、ヒト臨床検体42検体(E型肝炎患者31検体、無症状病原体保持者11検体)からの25株はG4、17株はG3に分類された。ブタ肝臓由来の4検体(1%)がHEV陽性であり、2株はG3、他の2株がG4と判別された。エゾシカ肝臓47検体は全て陰性であった。環境検体(954検体)についてHEV RNAは1下水検体、1海水検体から検出された。これらの環境検体由来の株は共にG3であった。ブタや環境から得られた株には、系統樹上ヒトの臨床検体と近い分枝に位置づけられるものがあり、HEV感染における関連性を示唆した。
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