2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590726
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Research Institution | 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
西野 善一 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん疫学・予防研究部, 上席主任研究員 (70302099)
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Keywords | 癌 / 疫学 / 危険因子 / 乳癌 / トリプルネガティブ |
Research Abstract |
本研究は症例対照研究のデザインにより食事を含む各種生活習慣、生殖歴、体格等とtriple-negative乳癌リスクとの関連について検討を実施するものであるが、本年度は症例対照研究のためのデータセットを確定させて解析を実施した。宮城県立がんセンターの全ての初回入院患者に対して実施している健康状態と生活習慣に関する質問紙調査の回答者のうち乳癌症例について、院内がん登録情報より発見契機、診断根拠、組織診断、進行度等の情報、病理報告書からER、PR、HER2発現結果に関する情報を得た後に、非がん症例の回答者のデータを対照としてロジスティック回帰分析によりデータ解析を行った。2002年以降に診断されたtriple-negative乳癌107例および同年以降診断の非がん症例1659例を用いて検討を行った結果、triple-negative乳癌例において母親または姉妹の乳癌家族歴を持つことによるリスクの有意な上昇を認めるとともに、初潮年齢の上昇とともにリスクが低下する傾向を認めた。食事要因との関連については、ニンジン・カボチャ、トマト、緑葉野菜(ほうれんそう、しゅんぎく等)、ミカン類、ミカン類以外の果物といった野菜、果物類の摂取頻度の増加とともにリスクが低下する傾向を認めた。また、緑茶の摂取杯数の増加とtriple-negative乳癌リスク低下との間に関連を認めた。一方で、大豆類(とうふ、納豆など)ならびに味噌汁摂取量とtriple-negative乳癌リスクとの間には有意な関連を認めなかった。喫煙、配偶者からの受動喫煙、飲酒に関しては有意な関連を認めなかった。以上の結果よりtriple-negative乳癌はいくつかの食品について摂取の増加によりリスクが低下する可能性が示され、予防方法を検討する上で重要な知見が得られたと考えられた。
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