Research Abstract |
群馬県草津町ではこれまで高齢者を対象とした悉皆的な健康調査が2年に一度の間隔で,介護予防健診(にっこり健診)は毎年実施されてきた。調査・健診からは高齢者について自立度や「生活機能低下」,「閉じこもり」,「易転倒性」,「低栄養」の傾向などのデータが得られ,これらのデータと介護保険,医療保険の給付に関する情報がリンクされたデータセットが整備されつつある。平成21年度は,このデータセットの整備・充実を目的として,介護予防健診受診者データ,医療・介護保険データのデータセットへの追加入力などを行い,さらに介護予防健診未受診者調査を実施した。平成21年度における群馬県草津町の65歳以上(年度年齢)の住民は2,167人であったが,そのうち625人が介護予防健診を受診したので,未受診者調査では,残りの1,542人を調査対象とし,65歳以上70歳未満(502人)については郵送調査形式,70歳以上については地元調査員による訪問調査形式を採用した。調査票において未回答が多い場合などには,電話や訪問による聞き取りによって対処した。郵送調査の回収率は85.9%(431人/502人),訪問調査では90.4%(940/1,040)であった。本調査における欠票は177票であったが,全体的には88.9%(1,371/1,542)と非常に高い回収率を得ることができた。本調査で得られた高齢者の健康情報をデータセットに追加入力した。介護予防健診未受診者調査のデータは草津町の介護予防の中核である介護予防健診(にっこり健診)の評価(経済的評価)のためにも必須であるが,同調査によって健診未受診の中に要介護に陥りやすい虚弱な高齢者が多く存在することなども把握できる。平成19年度の同調査の基本チェックリストデータと同年の介護予防健診受診者データの同データによって特定高齢者候補者選定率を比較すると約3倍未受診者の方が高いことが確認できた(第68回日本公衆衛生学会総会(奈良)においてポスター発表)。
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