2010 Fiscal Year Annual Research Report
地域全体を視野に入れた介護予防推進システムの経済的評価
Project/Area Number |
21590728
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
吉田 裕人 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (40415493)
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Keywords | 介護予防推進システム / 経済的評価 / 医療費 / 介講費用 / 費用対効果 |
Research Abstract |
本年度は,草津町のデータセットの整備に加えて,最終年度に向けて,高齢者における月1人あたりの虚弱及び介護予防の費用抑制効果を推計した。医療費や介護費用(介護保険給付費+本人の自己負担)は,医療及び介護保険サービスを受給しない月に0となり,0という閾値データの占める割合が多くなる。そこで,こうした分布をとるデータについて経済学の分野で一般に用いられているTobitモデルによる回帰分析を解析に用いた。 (1) 「虚弱」の将来の医療・介護費用に及ぼす影響 群馬県草津町で2001年に実施された訪問面接調査(70歳以上対象)応答者916人のうち,2005年2月において同町在住が確認できた769人(84.0%)を分析対象として,虚弱性チェックリストにより定義された「虚弱」の将来の医療・介護費用に及ぼす影響を調べた。2004年度の月あたり介護費用を従属変数とし,性,訪問調査時の年齢,総合的移動能力,2002年度の月あたりの介護費用を調整変数,虚弱の有無を独立変数としたTobitモデルによる回帰分析を行った結果,虚弱は高齢者の月1人あたり介護費用を約6,200円有意に増大させると推計された。 (2) 美唄市における介護予防事業の費用抑制効果の検証 北海道美唄市で実施されている介護予防教室の参加後に,自主的に予防活動を継続した自主グループの費用抑制効果を検証した。分析では,2004年度から2008年度の間に一度でも自主グループ活動に参加したことがある178人を事業参加群,一度も参加しなかった2,334人を事業非参加群とした。2008年度の月あたり介護費用を従属変数とし,2004年度の月あたり介護費用,年齢及び2004年度から2007年度において一度でも自主グループに参加したかどうかを独立変数としてTobitモデルによる回帰分析を男女別に行った結果,女性において自主グループへの参加は,月1人あたり介護費用を約9,000円有意に減少させると推計された(第21回日本疫学会学術総会(札幌)において報告し,読売新聞に掲載された(2011.1.21))。
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Research Products
(5 results)