2011 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスは覚醒剤の心臓への影響を強めるか?-遺伝子発現を指標とした病態生理解明
Project/Area Number |
21590735
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
那谷 雅之 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70241627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 正文 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (50113197)
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Keywords | メタンフェタミン / ストレス / 水浸拘束 / 遺伝子発現 / Heat shock protein / コルチコステロン |
Research Abstract |
メタンフェタミン(MAP)が、ストレス下で心筋に及ぼす影響についてheat shock protein (Hsp)を指標として検討した。また、1ヵ月間のMAP投与・ストレス負荷の影響についても検討した。 ストレスは水浸拘束(WRS)を用いた。WRS直前にMAP30mg/kgを1回腹腔内投与した。心筋の一部をHsp70測定試料とした。また、心筋からRNAを抽出し、Hsp60,70,90,32の遺伝子発現をreal-time PCRで検討した。Hsp70、H-FABPはELISAで定量し、血中MAP濃度は誘導体化後GC/MSで定量した。 WRS(+)または(-)の条件下でMAPの心筋への影響を検討した。MAP投与後3.6hでの血中濃度はWRS(-)に比べ、(+)で有意に高値となり、WRS下ではその代謝・排泄が遅れることを示した。H-FABP濃度がWRS(+)MAP群において投与6hで有意に高値となるが、WRS(-)MAP群、WRSのみの群ではその上昇は認められなかった。MAP投与3hでの心筋のHsp遺伝子発現では、WRS(-)MAP投与においてHsp70,90,32の発現レベルが高値を示すが、WRS(+)MAP群では大きな変化は観察されなかった。心筋におけるHsp70タンパク量もWRS(-)MAP投与群において一般に高い値が得られた。WRSS(-)MAP群の心筋では、防御機構としてのHspの発現が促進されるが、WRS(+)MAP群では、その発現が低く、障害が惹起される可能性があった。 1ヵ月間のストレス(S群)として温度変化、電気ショック、拘束、WRSを用いた。MAPは3回/週10mg/kgを1回腹腔内投与した(M群)。心筋からRNAを抽出し、各種遺伝子発現をreal-time PCRで検討した。ストレスの指標である血中コルチコステロン(CORT)をELISAで定量した。 血中CORT値はM群では変化が見られず、S群で優位に促進し、MS群ではその促進が抑えられた。遺伝子発現では、Hsp70がM群でのみ優位に上昇した。MT1,MT2はストレス負荷で促進がみられ、MS群ではともに有意に高値を示した。NOS2はM群で変化はなく、ストレス負荷群で優位に低下した。IL-6、アンギオテンシン変換酵素(ACE)がMS群で有意に上昇した。脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)はM群で有意に促進がみられ、障害と防御が起こっていることが確認された。
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