2009 Fiscal Year Annual Research Report
法医学的試料におけるDNAメチル化プロファイルの分析
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21590742
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
中屋敷 徳 Iwate Medical University, 医学部, 講師 (10146029)
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Keywords | 遺伝子 / DNAメチル化 |
Research Abstract |
1. 法医学的サンプルに含まれているDNAメチル化状態の経時的変化を調べるために、まず血液サンプルを用いて、基礎となる保存環境(ガラス板上血痕、あるいは2種類のFTAカードに作成した血痕)を検討した,短期保存条件におけるメチル化状態をバイサルファイト処理前後で比較した結果、FTAカード上で安定して検出されることを確認した.メチル化状態の安定しているSNRPN遺伝子とやや不安定と推測されるPEG3遺伝子のDMR(differentially methylated region)を対象として開始した.上述の保存方法を用いて作成した温度や保存時間等の異なる試料について、分析中である. 2. DMPA (differentially methylated parental allele)検出法により直接ハプロタイプ判定ができる、H19インフリント遺伝子上流約1.5kb領域内の20以上のSNPsのハプロタイプを調べたところ、アフリカ人やドイツ人において、日本人で観察されなかった9SNPsを含む多くのハプロタイプが検出され(逆に日本人特有の1SNPも存在した)、現時点で20ハプロタイプが確認されている.このH19ハプロタイプ(H19HPと命名)判定の統計学的な個人識別能は必然的に高くなると共に、いろいろな集団特異的ハプロタイプ検出によるethnicity判別への有用性も示唆された.この3集団の系統学的分析から推定される起源ハプロタイプは、原生類人猿のそれとほぼ日致しており、進化分類学的にも興味深い.現在、他の集団(国内および海外)におけるハプロタイプ分布についても分析中である.
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