2009 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素中毒による脳の酸化ストレス増加作用に関する研究
Project/Area Number |
21590747
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
原 修一 Tokyo Medical University, 医学部, 准教授 (70208651)
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Keywords | 一酸化炭素 / ヒドロキシルラジカル / cAMP / プリン受容体 / ラット / 線条体 |
Research Abstract |
ラットを3000ppm一酸化炭素(CO)および5%0_2に40分間曝露すると、同程度の脳の低酸素状態を誘発したが、前者は、線条体におけるヒドロキシルラジカル(・OH;最も毒性の高い活性酸素種)生成を後者よりも強力に増強した。・OH生成は、同部位におけるcAMP(細胞内セカンドメッセンジャーの1つ)の増加とパラレルであったことから、これらの間には密接な関連性があるものと推察された。さらに、・OHを捕獲するサリチル酸は、COによるcAMP増加に影響を及ぼさなかったことから、cAMP増加が、・OH生成に関与する可能性が考えられた。一方、COによるcAMP増加に対する種々の薬物の効果について検討したところ、P2タイプのプリン受容体に対する非特異的拮抗薬であるsuraminに抑制効果が認められた。しかし、もう1つの非特異的拮抗薬であるPPADS(pyridoxalphosphate-6-azopheny1-2',4'-disulfonic acid)には、このような効果が認められなかったことから、COによるcAMP増加にはP2Y受容体の中で唯一Gs蛋白質と共役するP2Y11受容体の関与が考えられた。P2Y11は、ラットでの発現が認められていないが、COによるcAMP増加は、P2Y11の拮抗薬であるNF157により用量依存的に抑制された。なお、Gs蛋白質と共役するアデノシン受容体サブタイプA2の拮抗薬であるDMPX(3,7-dimethy1-1-propargylxanthine)には抑制効果は認められなかった。このような知見から、COによるcAMPの増加には、P2Y11様受容体が関与する可能性が示唆された。
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