2011 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素中毒による脳の酸化ストレス増加作用に関する研究
Project/Area Number |
21590747
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
原 修一 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70208651)
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Keywords | 一酸化炭素 / ヒドロキシルラジカル / cAMP / プリン受容体 / ラット線条体 |
Research Abstract |
一酸化炭素(CO)3000ppm曝露によるラット線条体のヒドロキシルラジカル(・OH;最強毒性の活性酸素種)生成は、cAMPの場合と同様に、プリン受容体(P2)サブタイプの1つであるP2Y11を阻害するNF157によって抑制された。さらに、CO中毒による・OH生成は、protein kinase A(PKA)阻害薬H89により増強され、PKAとexchange factors directly activated by cAMP(Epac)を共に阻害する8-bromoadenosine-3',5'-cyclic monophosphorothionate,Rp-isomerにより抑制された。このような知見から、CO中毒時には、P2Y11受容体を介して生成されたcAMPが、・OH生成を抑制するPKA系と促進するEpac系の両経路を同時に活性化するが、Epac系経路の方をより強く活性化するため結果的には・OH生成が促進されることが示唆された。しかし、CO中毒による・OH生成は、cAMP生成に影響を及ぼさない非選択的P2阻害薬であるPPADSによっても強く抑制された。P2X1,X2,X3,X7の受容体サブタイプを優先的に阻害するNF279にはそのような抑制効果は認められなかったが、P2X2,X5,X7を優先的に阻害するBrilliant Blue Gでは、NF157と同程度の阻害効果が認められた。一方、ATP、GTPあるいはCTPを直接線条体に投与すると用量依存的に・OHが生成されたが、ATPの作用が最強であった。これらによる・OH生成は、PPADSおよびNF279で抑制されたが、その抑制効果は後者の方が強かった。このような結果から、CO中毒による・OH生成には、P2Y11だけでなく他のP2受容体を含む複雑な機構が関与することが示唆された。
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