2011 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素中毒での循環不全に関する研究-基礎的検討を踏まえて-
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21590752
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田中 敏子 産業医科大学, 医学部, 講師 (80141745)
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Keywords | 二酸化炭素 / 呼吸抑制 / ガス中毒 / 動脈血液ガス / セロトニン / トランスポーター / フルボキサミン |
Research Abstract |
これまでに,高濃度の二酸化炭素吸入によって呼吸抑制を生じ,諸臓器に虚血性変化に伴う血清生化学的な傷害が生じること,特に心臓においては心室性不整脈が出現することを確認した。近年,呼吸反応に関与する経路として縫線核を中心としたセロトニン経路などが報告されている。本年度はセロトニン受容体に作用する薬剤を用いて,このモデルでのセロトニンの役割について検討した。 方法:麻酔下のラットにセロトニントランスポーター阻害剤であるフルボキサミンを前投与し(フルボキサミン群),21%酸素/40%二酸化炭素(窒素バランス)ガス(以下「高濃度 CO_2ガス」という)を3時間暴露した。連続的に四肢誘導心電図,大腿動脈の血圧および空気動圧センサーでとらえた呼吸運動を記録した。暴露終了時に動脈血を採取し,血液ガスを測定した。同様に生理食塩液を投与し高濃度CO_2ガスに暴露した対照群と比較した。 結果:対照群では高濃度CO_2ガスの暴露によって一過性の血圧上昇,持続的な呼吸数の低下および動脈血酸素飽和度の減少を認めた。フルボキサミン群では対照群のこれらの反応は有意に抑制された。 考察・結論:高濃度CO2による呼吸抑制は,受容体のセロトニン量を増加させるセロトニントランスポーター阻害剤により抑えられた。今回の二酸化炭素中毒モデルの呼吸抑制に,セロトニンが関与する可能性が考えられた。
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