2011 Fiscal Year Annual Research Report
腸管免疫系でのヘルパーT細胞分化制御を介した葛根湯の末梢性免疫寛容誘導作用の検討
Project/Area Number |
21590760
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
門脇 真 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (20305709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 武 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (70316181)
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Keywords | 葛根湯 / 食物アレルギー / 腸管粘膜免疫系 / 制御性T細胞 / 活性化T細胞 / 末梢性免疫寛容 / 樹状細胞 / Foxp3 |
Research Abstract |
本研究は、葛根湯の末梢性免疫寛容誘導作用を介した免疫応答バランスの調節作用を明らかにすることを目的にしている。本年度は、in vivoで樹状細胞によるナイーブCD4^+T細胞に対する抗原提示とT細胞の分化・増殖に対する葛根湯の作用を検討した。 【方法】マウスの腸管膜リンパ節より樹状細胞を、脾臓よりCD4^+T細胞を分取した。分取したCD4^+T細胞は、増殖を評価するためにCFSEによる蛍光染色を行った。分取した樹状細胞とCD4^+T細胞を1:10の割合で混合し、抗原としてOVAペプチドを添加し、葛根湯もしくは溶媒を添加した培地中で3日間培養を行った。CD4^+T細胞の分化・増殖評価は、クラスター形成の観察およびCFSEを指標としたFACS測定により行った。 【結果および考察】クラスター形成は、OVAペプチドの濃度依存的に増加し、葛根湯の濃度依存的に減少した。CFSEで標識したCD4^+T細胞のFACS解析でも、OVAペプチドの濃度依存的にCD4^+T細胞が増殖し、葛根湯の濃度依存的にCD4^+T細胞の増殖は減少した。制御性T細胞の検討では、誘導条件として培地中にTGF-β、レチノイン酸、IL-2、antiIL-4、antiIFN-γを添加したが、クラスター形成は葛根湯の濃度依存的に減少した。また、Foxp3を指標として制御性T細胞を検討したが、葛根湯は濃度依存的に増殖したCD4^+T細胞での制御性T細胞の割合を減少させた。さらに、樹状細胞のみを培養し葛根湯が樹状細胞に与える影響を検討した。その結果、葛根湯は樹状細胞の生存率および樹状細胞膜表面抗原のCD11c、MHC classII、CD80、CD86の発現に影響を与えなかった。 本研究により、葛根湯は樹状細胞とT細胞のin vivo共培養系においても、CD4^+T細胞の分化・増殖を抑制した。このことから、葛根湯はinvivoで樹状細胞-CD4^+T細胞系を制御し免疫抑制作用を示すことが示唆された。しかし、葛根湯はin vivoでの制御性T細胞への誘導条件においてもCD4^+T細胞分化・増殖を抑制した。従って、in vivo系により確認された葛根湯によるT細胞分化誘導効果にはさらなる詳細な機序解明が必要である。
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