2009 Fiscal Year Annual Research Report
認知症の易転倒性に関する、骨・筋・運動機能及び脳画像の縦断解析研究
Project/Area Number |
21590774
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
鳥羽 研二 Kyorin University, 医学部, 教授 (60155546)
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Keywords | 転倒 / 認知症 / 転倒危険因子 / 白質病変 / 姿勢 / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
本邦では認知症の臨床研究と骨折の臨床研究が同時に行われていないため、認知症の転倒研究は大幅に遅れている。平成21年度には、まず認知症各病態での転倒率を明らかにした。転倒率はレヴィ小体病(DLB)58%、脳血管性認知症(VaD947%、前頭葉型認知症31%、アルツハイマー型認知症26%で、同年代の地域住民と比較しDLBとVaDが有意に転倒率が高かった。転倒リスクに関しては上記4疾患で歩行機能や片足立ち時間に有意な相違はなく、転倒スコア下位項目ではDLB,VaDにおいて「つまづき」と「めまい・ふらつき」「視力障害」「転倒不安」がアルツハイマーに比し有意に高頻度であった。 画像所見と認知速度、意欲、視空間認知機能の関連を明らかにするため、脳血流シンチ(SPECT)を用い、認知機能検査のうち意欲に関連する血流低下部位を明らかにした(園原、鳥羽、日本老年医学会誌2009)。従来指摘されてきた尾状核、前部帯状回だけでなく、視床など白質の血流低下が関与し、注意力障害と歩行障害の共通部位として注目される。 姿勢と転倒の関連の関連では、足関節可動域(Dorsiflexion)の減少及び、脊椎後弯角の増大が、容量依存性に転倒率を増す子とを始めて解明した(清水、鳥羽、Geriatric Medicine 20096)。従来骨粗鬆症は、転倒時の骨折のリスクを高めることが知られてきたが、骨粗鬆症の進展による姿勢の変化自体が、転倒率を増やすという新しい知見と考える。脊椎圧迫骨折を防止し、同時に姿勢保持筋力を保つことによって、長期的な転倒・骨折予防が可能になる可能性がでてきた。
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Research Products
(5 results)