2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢期における慢性腎臓病のバイオマーカーと臨床的意義の検討
Project/Area Number |
21590775
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新井 康通 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20255467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 信義 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90142421)
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Keywords | 慢性腎臓病 / 超高齢者 / 動脈硬化 / シスタチンC |
Research Abstract |
本年度は初年度に行った基礎調査結果の横断的解析および、超高齢者コホート542名の電話、手紙によるフォローアップ調査(2年目)、一部の対象者に対して3年後の追跡調査(基礎調査と同じ方法による)を行った。 1.横断的解析慢性腎臓病(CKD)のバイオマーカーとして血清クレアチニン、シスタチンC濃度を測定し、推定糸球体濾過率(eGFR)を算出して、微量アルブミン尿、炎症マーカー、頸動脈硬化との関連を検討した。対象者を(1)eGFR60mL/min/1.73m^2以上、(2)45-59.9mL/min/1.73m^2,(3)45mL/min/1.73m^2未満の3群に分けて医学パラメータの比較を行った。eGFRCystCが45ml/min/1.73m^2未満の群は高齢で、ADL障害率が高く、冠動脈疾患や高血圧の罹患率が高かった。シスタチンCから計算したeGFR(eGFR_<CystC>)が45ml/min/1.73m^2未満の群はHDL-Cが低く、HbA1cが高く、微量アルブミン尿(ACR30mg/g以上)の頻度が高かった。また、intactPTHおよびカルシウム濃度が高く、ヘモグロビンが低かった。LDL-C、リン濃度には有意な差は見られなかった。eGFR_<CystC>が低下しCKDが高度となるほど頸動脈プラーク数、プラークスコアが有意に高くなり、頸動脈硬化の進行度と関連することが明らかとなった。一方、CrにもとづくCKDも同様の傾向は認めるものの有意ではなかった。これらの結果は欧文雑誌に投稿したが、アクセプトには至らなかった。 2.追跡調査結果基礎調査から2年後の追跡調査(総死亡、死因別死亡)を手紙、電話によって行った。542名のうち、2年後に生存していたものは467名(86.2%)、死亡62名(11.4%)、脱落13名(2.4%)であった。また、平成20年度に基礎調査を行った約100名については3年後の追跡調査を行った。縦断的解析は全体の追跡調査が終了する平成24年末以降に行う予定である。
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[Remarks] (3)ラジオ日経にて超高齢者調査の一部が紹介された。
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[Remarks] (4)本研究成果は超高齢者のプライマリーケアを担当する開業医にとって貴重であり、地区医師会の勉強会で結果を報告した(新宿区医師会、渋谷区医師会)
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[Remarks] (5)本研究成果は一般の高齢者の健康維持にも有用であり、セミナー、卓話を行った。(東京日本橋東ロータリークラブ例会)