2009 Fiscal Year Annual Research Report
モチリンによる空腹期収縮機構の解明~新たなモデル動物を用いたアプローチ~
Project/Area Number |
21590785
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
坂井 貴文 Saitama University, 理工学研究科, 教授 (40235114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 明人 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20351588)
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Keywords | 消化管運動 / モチリン / 空腹期収縮 / 消化管ホルモン / 胃 / スンクス / organ bath |
Research Abstract |
本研究は、今まで不明であったモチリンの作用機構を小型実験動物であるスンクスを用いて研究し、モチリンの臨床応用に繋がる生物学、基礎医学的知見を得ること、および消化管収縮機構の生理機構の解明を目的としている。平成21年度の成果は以下の通りである。(1)スンクスモチリン受容体(GPR38)のクローニングがほぼ終了し、当該受容体は7回膜貫通型のGPCRであり、他の種で報告されている配列と高い相同性を有することを明らかにした。また、スンクス全身における受容体発現分布を検討し、視床下部、延髄、胃を含む消化管にその発現を確認した。(2)organ bathを用いたin vitro実験により、モチリンはスンクス胃の壁内神経叢を介して胃収縮を刺激すること、またそれらの収縮にはcholinergic neuron, adrenergic neuron, serotonergic neuron, opioidergic neuron等が関与していることを明らかにした。(3)絶食下の無麻酔・無拘束スンクスへのモチリン投与により、胃収縮が容量依存性に惹起される事が明らかになった。また、モチリンのアゴニストであるエリスロマイシンによる収縮作用についてさらに検討を加えた。 organ bathで胃収縮を引き起こすモチリンは生理的濃度で有ることから、これらの結果は、生体内で十二指腸から分泌されたモチリンが、血液を介して、胃の壁内神経叢に作用し平滑筋を収縮させる事を強く示唆している。今後は迷走神経切除を行うことで、モチリンの消化管運動に対する末梢作用に加えて、脳の関与を明らかにする予定である。
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Research Products
(10 results)