2011 Fiscal Year Annual Research Report
microRNA発現の網羅的解析に基づいたCagAの細胞形質に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
21590788
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻井 正彦 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (40303937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 英樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90444520)
西田 勉 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20467575)
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Keywords | microRNA / ヘリコバクターピロリ / CagA / 胃癌 |
Research Abstract |
前年度までの検討で、非腫瘍性胃粘膜上皮由来培養細胞を用いて、CagA発現に伴うlet-7の発現の変化をReal Time RT-PCR法にて定量的解析したところ、let-7の発現は有意に減少し、Ras発現が有意に上昇すること、CagA発現に伴いlet-7発現が減少した細胞にlet-7を強制発現させたところ,CagA発現により発現亢進したRas発現が抑制されることを認めた。今回、CagA発現によるlet-7の発現制御機構を検討した。CagA発現細胞に脱メチル化剤を作用させると,let-7の発現が回復すること、CagA発現に伴ってDNA methyl transferase (DNMT) 3Bの発現誘導が誘導されること、let-7cのプロモーター領域のメチル化解析からDNAメチル化の亢進が誘導されることを認め、CagAによりlet-7のプロモーターにおけるDNAメチル化が亢進することが示唆された。さらに、histone methyl transferaseであるEZH2の発現がCagAで亢進すること、DNMT3B・MYCと複合体を形成するとともに、let-7プロモーター領域のヒストンのメチル化が亢進すること、siRNAでEZH2やMYCの発現を抑制すると,CagAを発現させてもlet-7の発現は減少しないことを認めた。CagAトランスジェニックマウスでは,胃粘膜や腸間膜リンパ節において,野生型と比較してlet-7の発現が抑制され,Rasの発現が亢進すること、72週間観察を行うとリンパ腫・腺癌が高率にの発生することを認めた。以上のことから,胃粘膜上皮細胞において、CagAはDNA・ヒストンの異常メチル化を介し,let-7発現を抑制し,Rasタンパクの発現を亢進させることが明らかとなった。H.pylori感染の胃癌発生に関わる機構において,ヒストンメチル化異常・DNAメチル化異常とmicroRNA let-7発現異常が関与している可能性が明らかとなった。
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Research Products
(12 results)