2009 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌におけるEGF様増殖因子の放出に連動した核内転写抑制の解除機構
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21590790
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
城 卓志 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 教授 (30231369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 洋望 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40381785)
谷田 諭史 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (30528782)
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Keywords | HB-EGF / shedding / ADAM / amphiregulin / epiregulin / EGF-receptor |
Research Abstract |
IL-8, TPAなどの刺激の刺激によりADAMを活性化し,pro-HB-EGFのsheddingを誘導するとHB-EGFやamphiregulinのC末側が核内行し、ADAM inhibitorやある種の薬剤により,この核移行が抑制されることを,CTFに対する抗体を用いた蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡による観察で明らかにした. また,この現象はある種の胃癌細胞においてはTGF-betalの刺激でも起こることが明らかになり,TGF-betalもADAMを刺激しHB-EGFのseddingを誘導することを見いだした. HB-EGF-CTFの核内移行の抑制により、癌細胞の増殖が抑制されることを確認した.またこれとは逆にamphiregulinのCTFの核内移行により,細胞増殖が抑制されることも見いだした. HB-EGF-CTFとは,転写抑制因子(repressor)であるPLZF, BCL-6などのrepressorがassociateすることを見いだし,BCL-6は核外に放出された後にユビキチン化を受け,プロテオソームで分解されることを明らかにした.このBCl-6とHB-EGF-CTFの細胞内局在の関連性は,胃癌切除標本の免疫染色において,HB-EGF陽性の胃癌組織では確認することができた. 以上の事象は,消化器癌において膜結合型メタロプロテアーゼであるADAM familyによるHB-EGF, amphyregulinなどのEGFRリガンドのsheddingが,これらを活性化し,オートクラインやパラクラインによるEGFRへの結合によるEGFR活性化とこれに続くシグナルトランスダクション以外に,C末部位の核内移行が,癌細胞の増殖に重要な役割をはたしており,新たな分子標的の1つになる可能性が示唆された.ADAM阻害薬は副作用の面からも臨床応用には多くの問題点を持つことがすでに判明していることから,EGFRリガンドのC末部位の核移行のみを特異的に抑制する方策が有用と現時点では考えられる.
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Research Products
(3 results)