2010 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイムイメージングを用いた初代大腸上皮培養細胞の増殖・分化機構解析
Project/Area Number |
21590803
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中村 哲也 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 寄付講座教員 (70265809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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Keywords | 大腸上皮幹細胞 / ライブイメージング / 細胞増殖 / 細胞分化 / 初代培養 / 幹細胞移植 / 再生治療 / 炎症性腸疾患 |
Research Abstract |
本研究は、これまで困難とされてきた正常腸管上皮幹細胞の培養技術を確立し、我々が独自に有するイメージング技術と組み合わせることで、その増殖・分化過程をリアルタイムに可視化するシステム構築を目指して開始された。平成21年度より長期培養技術開発に着手した結果、我々が用いる上皮細胞単離技術、3次元培養基質条件、蛋白因子添加条件の組み合わせにより、正常マウス大腸上皮細胞がきわめて純度の高いまま、1年を超えて、しかも無血清培地中で継代操作を経て維持可能であることを明らかにした。本法を用いると、大腸上皮細胞が単層に配列球状嚢状構造を形成し、その増大を伴いつつ細胞増殖を繰り返す。これら培養細胞には、すべての大腸上皮分化細胞が含まれるのみならず、Lgr5陽性の大腸上皮幹細胞が維持されることが明らかとなった。さらに我々は、1週間にわたるライブイメージングを安定しおこなう手法を用いることで、単離した大腸上皮幹細胞が数日間にわたって実際に増殖する過程を可視化することにも成功した(論文投稿中)。以上より、当初の予定通り、今後1)正常マウス由来大腸上皮幹細胞のさらなる性状解析、2)マウス大腸上皮幹細の増殖・分裂、あるいは分化プロセスのリアルタイム可視化システムの確立、3)レンチウイルスベクターによるマウス大腸未分化上皮細胞へのレポーター遺伝導入を用いた「分化マーカー分子の発現可視化システム」の開発、および4)細胞増殖・分化プロセスにおける分子発現変化のリアルタイム可視化システムの確立、を遂行することは、残された研究期間で十分遂行可能な状況にある。本研究のさらなる進展は、組織幹細胞が増殖・分化するプロセスを動的に、かっ細胞レベルで解析しうる技術を提供するものであり、新規かつ汎用性のある研究アプローチの提供につながるものと期待される。
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