2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸上皮におけるWnt/Notchシグナルクロストーク機構の解明
Project/Area Number |
21590805
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 伸治 Tokyo Medical and Dental University, 医歯学総合研究科, 助教 (10456212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 哲也 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 寄附講座教員 (70265809)
渡辺 守 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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Keywords | 大腸上皮細胞 / 細胞増殖 / 細胞分化 / Wntシグナル / Notchシグナル |
Research Abstract |
本研究では、われわれが新規に見出したWnt/Notchシグナル間クロストーク機構が腸管上皮において担う役割を詳細に解析することを目的とした。このため平成21年度においては、in vivoおよびin vitroの両者における実験システムを構築した。 In vivoの実験については、これまでに知られていなかったヒト大腸上皮におけるNotchシグナル解析を試みた。その結果、実際にヒト大腸上皮組織にNotch分子が発現するのみならず、Notch分子のリガンドであるJaggedファミリー分子、D11ファミリー分子も上皮細胞に発現することを初めて明らかにした。さらに、活性型Notch分子の発現が炎症性腸疾患患者の大腸組織で著しく高くなることなど、Notchシグナル機能がヒト大腸組織の修復・再生に機能することも明確にした。これら成果の一部はすでに論文としても公表されるなど、着実な研究の進展がみられた。 In vitroの実験については、Wnt/Notchシグナル間クロストーク機構のさらに詳細な研究ツールとするため、世界でも例をみない「正常大腸上皮細胞の単離・培養技術開発」を試みた。その結果、特定の細胞外基質に3次元包埋し、複数の因子を含む無血清培地を用いると、マウス大腸より単離した大腸上皮細胞が選択的に、長期間にわたり、継代操作を経て培養可能となることを見出した。本法では、大腸上皮細胞が単層に配列する球状嚢状構造を形成し、その増大を伴いつつ細胞増殖を繰り返すこと、およびこれら細胞には大腸上皮幹細胞が長期にわたって維持されることが明らかとなった。これら成果のさらなる発展によって、Wnt/Notchシグナルの詳細な分子機構が正常上皮細胞の培養系を利用して初めて明らかになることが期待されると考えた。
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[Journal Article]2009
Author(s)
鈴木伸治、渡守
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Journal Title
総合臨床【消化管疾患診断と治療の進歩】治療法の進歩クローン病、潰瘍性大腸炎に対する新しい治療法(永井書店)
Pages: 1972-1977
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