2011 Fiscal Year Annual Research Report
クローン病狭窄症に対するRNA干渉技術を用いた内視鏡的治療法開発
Project/Area Number |
21590807
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 健司 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (00303123)
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Keywords | クローン病 / 消化管狭窄 / RNA干渉 / 内視鏡的治療 |
Research Abstract |
本研究では、クローン病患者のQOLを著しく損なう原因である腸管狭窄症に対する新規治療法開発のために、究極の分子標的治療と呼ばれるRNA干渉技術を用いる。近年抗TNFα製剤レミケードによりクローン病治療成績が格段に向上したが、最大の合併症である消化管狭窄に関しては外科的切除など侵襲的な治療法しかなく、患者は入退院を繰り返している。我々はこれまで、ステリック再生医科学研究所と共同で、腸管肥満細胞の発現する消化管線維化狭窄の責任遺伝子(G#1)を明らかにした。さらにG#1に選択的なRNA干渉薬「STNM-01」を作成し、マウス急性腸炎モデルにおける治療効果を確認した。これらの独創的かつ実現可能性の高い研究成果を臨床に還元し、これまで著しく損なわれてきた患者QOL改善を目指すために、本研究ではSTNM-01の抗線維化効果を慢性線維化腸炎モデルで検証し、次に理想的Drug Delivery Systemと考えられるSTNM-01の内視鏡的粘膜下注入療法を実験腸炎モデルラットで検討する。 平成23年度の研究実施計画に沿って、慢性線維化腸炎をマウスで作成し、STNM01を内視鏡的粘膜下注入投与実験を行い治療効果判定を行った。臨床評価スコアであるDisease Activity Index (DAI)はSTNM01治療群で有意差を持って改善が見られた。組織学的解析でも大腸における炎症、線維化面積は治療群で有意な改善がみられた。RT-PCRによるmRNA発現の解析でも治療群において有意に炎症性サイトカイン、TGF-b, Collagen I,IIIの発現抑制が認められた。 平成22年度の研究実績で慢性線維化腸炎モデルの大腸において活性型線維芽細胞と筋線維芽細胞が増加し、これらが腸管組織の線維化に重要な働きをしていることを明らかにし論文発表した(K Suzuki et al.Pathol Int 2011 : 61 ; 228-238.)平成23年度にはSTNM-01の粘膜下注入によりこれら線維化促進間葉系細胞が減少することで慢性線維化腸炎が改善したことを明らかとした。これらの実績をもとにSTNM01のヒト臨床応用試験をPMDAに申請、認可を受け、平成24年からステリック再生医科学研究所との共同研究でヒトでの臨床試験が開始されることになった。
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Research Products
(12 results)