2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来間葉系幹細胞による大腸癌転移促進機構の解析
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21590813
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北台 靖彦 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10304437)
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Keywords | Mesenchymal stem cell (MSC) / Carcinoma-associated fibroblast (CAF) / Colon cancer / 分子標的治療 |
Research Abstract |
昨年度我々は、大腸癌細胞株KM12SM細胞を用いてヌードマウス同所移植モデルと脾臓移植肝転移モデルを作製し、癌間質相互作用におけるヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)の重要性について検討した。その結果、大腸腫瘍間質に取り込まれたヒト骨髄由来MSCは癌関連線維芽細胞(CAF)に分化し、腫瘍増殖・進展を促進することを証明した。本年度、MSCがc-kitとPDGF receptorを発現していることに着目し、それらの分子のリン酸化を阻害する小分子化合物、imatinibを使用して治療実験を行った。 KM12SM細胞をヌードマウスの盲腸もしくは脾臓に移植し腫瘍を形成した後、蛍光ラベルしたMSCを尾静脈注射し、盲腸腫瘍部、肝転移腫瘍部へのMSCの取り込みを検討したところ、imatinibはMSCの大腸腫瘍部、肝転移腫瘍部間質への集積を阻害した。また、KM12SM細胞とMSCを混合してヌードマウスの盲腸もしくは脾臓へ移植し、その後imatinibを投与したところ、MSCによる腫瘍増大促進効果、転移促進効果は抑制された。また、マウスの生存率も有意に改善した。組織学的検討においてimatinibは、MSCの腫瘍部での生着を阻害するが、CAFへの分化は阻害しないことが明らかとなった。 以上より、大腸癌細胞とMSCの相互作用においてPDGF/receptor系が重要であることが示された。
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