2009 Fiscal Year Annual Research Report
クローン病の病態における細胞内寄生細菌に対するオートファジー機能異常の重要性
Project/Area Number |
21590820
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井上 詠 Keio University, 医学部, 講師 (00232546)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 粘膜免疫 / 腸内細菌 / オートファジー / マクロファージ / 自然免疫 / クローン病 / 細胞内寄生菌 |
Research Abstract |
クローン病の病態において、どのような腸内細菌がどのようなメカニズムでマクロファージ(M□)を活性化し炎症を惹起するのか、という命題に対して「腸管M□内での処理異常による活性化のトソガーが細胞内寄生菌ではないか」という仮説をたて、腸内フローラおよび腸管粘膜、粘膜内M□を分子生物学的に解析することにより細胞内寄生菌の関与を明らかにするとともに、クローン病患者M□でのオートファジー機能異常と細胞内寄生菌に対するM□の反応異常について明らかとすることを目的とした。研究初年度である本年度は、炎症性腸疾患患者の糞便フローラ解析を定量PCR法および粘膜組織を用いたFISH法にて開始すると同時に、腸管M□の細菌刺激に対する機能解析に重点を置いて研究を進めた。 まず、腸管粘膜より粘膜固有層単核細胞(lamina propria mononuclear cells ; LPMC)を分離し、フローサイトメトリーにより、CD14陽性M□サゾセットの存在割合、表面抗原発現解析を行ったところ、炎症性腸疾患患者、特にクローン病患者腸管粘膜においてCD14陽性細胞が著明に増加していた。つぎにLPMCよりCD14陽性M□を単離し、腸内細菌抗原であるEscherichia coli,Enterococcus faecalisにより刺激し、産生されるサイトカインを測定したところ、クローン病腸管粘膜より単離したCD14陽性M□は、正常部腸管粘膜や潰瘍性大腸炎患者由来の同一サブセットと比較して、腸内細菌刺激により、多量のIL-23,TNF-□を産生することが示された。 これらの結果より、炎症性腸疾患、特にクローン病における腸管M□の病的役割が明らかとなった。また、CD14陽性腸管M□から産生されるIL-23が、クローン病の腸管炎症において重要な役割を担っていることが示唆された。
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