2011 Fiscal Year Annual Research Report
クローン病の病態における細胞内寄生細菌に対するオートファジー機能異常の重要性
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21590820
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井上 詠 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00232546)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 粘膜免疫 / 腸内細菌 / オートファジー / マクロファージ / 自然免疫 / クローン病 / 細胞内寄生菌 |
Research Abstract |
クローン病の病態において、どのような腸内細菌がどのようなメカニズムでマクロファージ(Mφ)を活性化し炎症を惹起するのか、という命題に対して「腸管Mφ内での処理異常による活性化のトリガーが細胞内寄生菌ではないか」という仮説をたて、腸内フローラおよび腸管粘膜、粘膜内Mφを分子生物学的に解析することにより細胞内寄生菌の関与を明らかにするとともに、クローン病患者Mφでのオートファジー機能異常と細胞内寄生菌に対するMφの反応異常について明らかとすることを目的とした。 まず、MCP-1依存性腸管Mφの恒常性維持における重要性を検討したところ、正常マウス腸管粘膜内(LP)Mφはflow cytometryの解析から2つの分画に分かれ(LPMφ-1、2)、MCP-1欠損マウスではLPMφ-2分画の減少が認められた。このLPMφ分画はIL-10高産生型であり、MCP-1欠損マウスではDSS腸炎誘発時にこのLPMφ-2分画のホーミングが傷害されており腸炎が増悪すること明らかとなり、腸管Mφの新たな機能と考えられた。 つぎにIL-10欠損(KO)マウスのLPMφにおけるIL23過剰産生のメカニズムを解析した。IL-10 K0マウスのMφからのIL-23過剰産生には病原体関連分子パターン(PAMPs)よりも腸内細菌刺激が重要であり、特に菌体を食食したのちのSTAT-1を含めたシグナル伝達が重要であることを明らかとした。これらの結果より、腸管Mφの機能異常がクローン病の病態において本質的な役割を果たしていることが明らかとなった。また、CD14陽性腸管Mφから産生されるIL-23が、クローン病の腸管炎症において重要な役割を担っていることが示唆された。
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