2009 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌、膵癌におけるアンドロジェンレセプターシグナリングの解析
Project/Area Number |
21590829
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
神田 達郎 Chiba University, 大学院・医学研究院, 特任講師 (20345002)
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Keywords | 膵臓癌 / 肝臓癌 / アンドロジェンレセプター / サイトカイン / 肝炎ウイルス / 性差 |
Research Abstract |
【背景・目的】男性の膵癌罹患率は女性の約1.2-1.5倍とされている。男性ホルモンandrogen receptor (AR) signaling pathwayにはandrogenをligandとするandrogen-dependent pathwayおよびandrogen-independent pathwayが知られている。後者にはJak/STAT3、mitogen-activated protein kinase(MAPK)などが含まれている。また膵癌では炎症性サイトカインIL6の血清濃度上昇が知られている。IL6およびandrogenをligandとしたandrogen依存性のAR活性化に加え、androgen非依存性のAR活性化経路を検索することにより進行膵臓癌に対する分子標的療法の標的が明らかとなる可能性がある。【方法】(1)膵癌細胞株MIA PaCa-2、Panc-1、AsPc-1、SUIT-2、KP-2を用いた。(2)IL6レセプター(IL6R)、ARの発現をWestern blotting, real-time RT-PCRを用いて検討した。(3)Dihydrotestosterone(DHT)およびIL6投与群と非投与群に分けて、STAT3、p42-/p44-MAPK,ARのリン酸化をそれぞれ検討した。(4)ARの活性化をルシフェラーゼアッセイにより検討した。【成績】(1)膵癌ではIL6R,GP130,ARの発現が様々なレベルで認められた。(2)各種阻害剤を用いた検討よりJak/STAT3,MAPKシグナルのAR活性化への関与がみられた。(3)IL6の投与によりこれらシグナルの増強がみられた。(4)DHTとIL6併用ではARの活性化が増強した。【結論】膵癌においてIL6はAR活性化を介して発癌進展に関与している可能性が示唆された。
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