2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝移植後のC型肝炎重症化機序におけるNK細胞の重要性と肝内免疫環境の解析
Project/Area Number |
21590834
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山際 訓 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10419327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 昌昭 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20422602)
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Keywords | 肝臓学 / 肝移植 / C型肝肝炎 / NK細胞 / 移植・再生医療 |
Research Abstract |
1..症例の選定、肝生検組織と末梢血の採取 移植外科医の協力により、当機関で生体肝移植を施行されたC型肝炎症例と、通常のC型慢性肝炎症例について同意を得た上で肝生検組織と末梢血の採取を実施した。 2.肝生検組織におけるサイトカイン・ケモカインとそのレセプター発現 cDNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析により同定された、肝移植後のC型肝炎肝組織において通常のC型慢性肝炎肝組織と比較して2倍以上の発現変動を認める遺伝子のうち、サイトカイン・ケモカインとそのレセプターを中心に肝組織から抽出したmRNAを用いたreal-time PCR法による遺伝子発現の検討を実施した。ある種のケモカインの発現が肝移植後のC型肝炎症例で通常のC型慢性肝炎症例と比較して高い傾向をみとめたものの、それ以外に有意な発現の違いを認めた遺伝子は解析範囲内では同定されなかった。 3.肝組織中のNKG2Dリガンド発現 NK細胞や細胞傷害性T細胞の活性化に関与する活性化レセプターNKG2Dに結合するリガンド発現について肝組織を用いた免疫組織学的検討などにより、対照として解析した肝細胞癌ではリガンドの1つが高発現しており、その発現低下が術後の早期再発と関連することを報告した。肝移植後のC型肝炎肝組織中におけるNKG2Dリガンド発現については、通常のC型慢性肝炎例の組織中と比較して高発現しているものを認めたが、その原因検索を目的とした肝癌細胞株を用いた培養実験では免疫抑制剤添加による発現増強作用は確認できなかった。 4.研究のまとめ 肝組織中のサイトカイン・ケモカインの発現解析では、その原因となりうる特徴的な変化を特定出来なかったものの、以前に報告した肝内NK細胞分画の違いや肝細胞におけるNK細胞活性化レセプターリガンドの発現の違いが、移植後のC型肝炎の重症化に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)