2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNA二重鎖傷害早期応答因子に着目した肝癌リスク予測マーカーの開発
Project/Area Number |
21590835
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松田 康伸 Niigata University, 医歯学系, 准教授 (40334669)
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Keywords | 肝癌 / DNA二重鎖傷害 |
Research Abstract |
【目的】発癌過程においては、DNA二重鎖がさまざまな傷害を受けることが知られている。この場合にはDNA早期応答因子γ-H2AXとその関連因子が活性化する。しかしながら肝発癌初期過程におけるDNA修復因子の動態は明らかでない。本研究では、様々な動物の肝発癌モデルやヒト肝癌組織におけるγ-H2AX関連因子を解析することによって、精度の高い肝癌予測マーカー開発に役立てることを目的としている。【方法】以下2つの肝癌モデルを作成した。1.HBV X遺伝子トランスジェニックマウスを米国赤十字社研究所より譲渡頂き、繁殖維持した。マウス出生後に経時的に肝組織を採取し、発癌前後のDNA修復因子の動向を解析した。2.ジエチルニトロサミン誘発肝癌モデルを、マウスに肝癌誘発化学物質とフェノバルビタールを投与することによって作成した。両モデルの発癌時期の前後におけるDNA修復因子(ATM/ATAR, 53BP, Chk1/2, ERCC1, TFIIH, XPG等)を解析した。【成績】HBV X遺伝子トランスジェニックマウスと、ジエチルニトロサミン誘発肝癌モデルの両モデル共に、発癌の数ヶ月前からH2AXが強くリン酸化して活性化していることをWestern blot・免疫染織で見いだした。さらにHBV X遺伝子トランスジェニックマウスは、ATRの強い活性化が認められた。しかしながら下流シグナルであるChk1とChk2は活性化しておらず、なんらかの原因でDNAの修復機構が抑制されている可能性が示唆された。【今後の展望】本解析結果をもとに、今後は、動物発癌モデルにおけるDNA修復因子の変化をさらに詳細に解析するとともに、ヒト肝組織におけるDNA修復因子の活性化状態を観察して、両者に共通して認められる異常パターンを見いだす予定である。
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