2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌における血清中のメチル化遺伝子を用いた腫瘍ダイナミクスの推定と臨床応用
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21590840
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 直生志 京都大学, 医学研究科, 助教 (60281755)
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Keywords | 肝癌 / エピジェネティクス / DNAメチル化 / 癌抑制遺伝子 / 診断 / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
我々は、作年度に肝細胞癌(肝癌)において、腫瘍ダイナミクスを早期に反映する新規マーカーとして、血清中より癌特異的なAPC, CDKN2A, GATP1, RASSF1のメチル化DNAの検出、定量が有用である可能性を見いだした。本年度は、APC遺伝子のメチル化DNAと非メチル化DNAの割合(Me/NMe DNA比)を、血清中の遊離DNAから高感度に検出、判定するため、APCプロモーターのCpG islandに、Bisulfite処理後のDNAがメチル化の状態に関わらず増幅されるPCRプライマーを設定し、さらにその内部にメチル化、非メチル化DNAをそれぞれ特異的に増幅、検出するhemi-nested TaqManプライマー,プローブを設定することにより、1 stepで高感度にMe/NMe DNA比の定量的解析が可能な系を開発した。肝癌組織DNAを希釈し、このアッセイ系でMe/NMe DNA比を求めたところ、希釈前のDNAを用いたCOBRA法の結果とよく一致した。次に、肝癌症例および正常者の血清100μ1よりDNAを抽出、Bisulfite処理し、上記の方法でMe/NMe DNA比を求めたところ、肝癌症例の血清では全例で検出が可能であり、一方、正常者では血清中にMe-DNAは検出されなかった。また肝癌症例でのMe/NMe DNA比と腫瘍の脈管浸潤との間には有意な相関が観察された。このMe/NMe DNA比は肝癌の分指標的療法の経過中にAFPよりも早期に低下し、また再発時にはAFPよりも早期に上昇した。すなわち、微量血清より、高感度に腫瘍由来DNAに対する非腫瘍由来DNAの比率を求めるアッセイ系を確立し、腫瘍の増殖状態ではこの比率が上昇し、非増殖状態では低下することを示した。
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