2009 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎に対する効果的治療戦略探索に向けた免疫細胞内IFNシグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
21590842
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮城 琢也 Osaka University, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (80532986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70335355)
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Keywords | C型肝炎 / インターフェロン / 免疫細胞 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス感染による慢性化の成立機序および抗ウイルス治療に対する抵抗性メカニズムの解明には、宿主側因子として、免疫担当細胞におけるシグナル伝達や遺伝子発現について包括的に理解する必要がある。今回我々は、NK細胞、NKT細胞、T細胞といった免疫エフェクター細胞におけるインターフェロンにより伝達されるシグナルや遺伝子発現について解析した。C型肝炎患者(CHC)と健常者(Healthy control ; HC)から、末梢血単核球を単離した。CD56、CD3により免疫細胞を分画毎に区別し、インターフェロンによる細胞内シグナル伝達をリン酸化STAT1(pSTAT1)、pSTAT4、STAT1の発現量でFACS解析にて評価した。インターフェロンにより誘導される遺伝子発現をReal-time PCRにて評価した。現在までの解析で以下のことが明らかになった。細胞内STAT1発現量は、NK細胞においてHCに比しCHCで有意に高かった。NKT細胞やT細胞においては有意差を認めなかった。NK細胞におけるインターフェロン刺激で誘導されるpSTATの程度は、HCに比しCHCでpSTAT1は有意に増強、pSTAT4は有意に減弱し、STAT1発現量とそれぞれ有意な正相関、逆相関関係を示した。NK細胞におけるインターフェロン刺激による誘導遺伝子発現は、HCに比しCHCで、pSTAT1シグナル下流のSocs1が有意に増強、pSTAT4シグナル下流のInterferon-gammaが有意に減弱していた。Perforin、Granzyme-bは減弱傾向を認めた。ここまでの結果より、ウイルス排除に重要な役割を果たすNK細胞においてシグナル伝達や誘導遺伝子発現を含めたインターフェロン反応性が、C型肝炎では変調をきたしていることが明らかになった。
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