2011 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎に対する効果的治療戦略探索に向けた免疫細胞内IFNシグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
21590842
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮城 琢也 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80532986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70335355)
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Keywords | C型肝炎 / インターフェロン / NK細胞サブセット / STAT / シグナル伝達 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス感染による慢性化の成立機序および抗ウイルス治療に対する抵抗性メカニズムの解明には、宿主側因子として、免疫担当細胞におけるシグナル伝達や遺伝子発現について包括的に理解する必要がある。前年度までの解析で、C型肝炎ウイルス感染患者では、ウイルス排除に重要な役割を果たすNK細胞においてIFN-αシグナル伝達が変調をきたしていることを報告した。NK細胞は二つのサブセット、すなわち、CD56^<bright>とCD56^<dim>とに分類され、前者はサイトカイン分泌能に、後者は細胞傷害活性能に特化した機能を有することで特徴付けられている。 今年度は、これらNK細胞サブセットにおけるIFNにより伝達されるシグナルや遺伝子発現について解析した。(1)末梢血中のCD56^<dim>NK細胞サブセットの頻度がC型肝炎ウイルス感染患者(以下、感染患者)で健常者に比して有意に低かった。(2)NK細胞活性化レセプターであるNKG2Dの発現がCD56^<bright>、CD56^<dim>両サブセットにおいて、感染患者で健常者に比して有意に低かった。また、抑制性レセプターであるNKG2A/CD94の発現は、CD56^<bright>サブセットにおいて、感染患者で健常者に比して有意に高かった。(3)細胞内STAT1発現量が、CD56^<bright>、CD56^<dim>両サブセットにおいて、感染患者で健常者に比して有意に高く、CD56^<dim>サブセットで顕著であった。(4)in vitroでのIFN-α刺激で誘導されるSTATリン酸化の程度が、CD56^<bright>サブセットでは、サイトカイン分泌に必要なSTAT4リン酸化が有意に減弱し、CD56^<dim>サブセットでは、細胞傷害に必要なSTAT1リン酸化が有意に増強していた。C型肝炎ウイルス感染症において、機能的に異なる特徴を有する二つのNK細胞サブセット、すなわち、CD56^<bright>サブセットとCD56^<dim>サブセットとの間で異なった違いがあることが見出された。
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Research Products
(2 results)