2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌化過程におけるSTAT分子の役割-STAT相互の活性化シフトを介して
Project/Area Number |
21590845
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
法水 淳 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (10536882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70335355)
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Keywords | STAT1 / VEGF / 肝癌 / STAT3 / HAS2 |
Research Abstract |
昨年度より検討を行っていたSTAT1とVEGFの関連性についてヌードマウスを用いて検討を加えた。5週齢のヌードマウスに対して、ヒト肝癌細胞株を皮下に移植し約1カ月間腫瘍のサイズを測定した。(A群)肝癌細胞株コントロール群、PBS投与、(B群)肝癌細胞株コントロール群、IFNa投与群、(C群)肝癌細胞株STAT1KO群、PBS投与、(D群)肝癌細胞株STAT1KO群、IFNa投与群の4群に分け検討を行った。STAT1KOはsiRNAを用い、in vitro、in vivoにおいて発現が低下していることを確認した。(A群)に比し(B群)においてIFNa投与による腫瘍増殖効果が認められたが、(C群)に比し(D群)において予想に反し、IFNa投与による腫瘍増殖増強効果を認めた。腫瘍移植後1ヶ月後に腫瘍を摘出し、VEGFのmRNAおよび蛋白を抽出、検討したところ、(D群)において他の群に比し著明に発現の増強を認めた。また、新生血管の発現をCD31抗体を用い検討したところ、有意に(D群)においてその増強を認めた。更に4群に対して腫瘍移植後よりベバシズマブ(抗VEGF抗体)を週2回投与したところ、IFNaによる腫瘍増殖増強効果が消失した。このことよりIFNa刺激下においてSTAT1発現低下に伴ってVEGF発現増強、更には腫瘍の増大を引き起こしたと考えられた。これらの結果より、通常のSTAT1発現下ではIFNaによる腫瘍抑制効果が期待されるが、STAT1非発現下ではIFNaは逆に腫瘍増殖を促進させる。その機序として、VEGFの発現増強を介して新生血管の出現を促していると考えられた。つまり腫瘍の特定の分子の発現や活性化に伴い、適切にIFNや分子標的薬を使用する必要がある。 現在作成が終わった肝特異的STAT1KOマウスに対して様々な系を用いて検討を行っている(CCl_4 model、HFD、DDC等)。
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