2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌化過程におけるSTAT分子の役割-STAT相互の活性化シフトを介して
Project/Area Number |
21590845
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
法水 淳 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (10536882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学研究科, 教授 (70335355)
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Keywords | STAT1 / VEGD / 肝癌 / HIF-1 / STAT3 |
Research Abstract |
昨年度より行っていたSTAT1とVEGFの関連性について更なる検討を加えた。IFNa刺激によるSTAT1の活性化によりVEGFの発現の低下が認められ、そのメカニズムに関して実験したところ、VEGF発現調節をつかさどるHIF-laとSTAT1との結合が免疫沈降反応により示された。更に、このSTAT1との結合によってHIF-laとVEGFのプロモーター領域に存在するHRE (hypoxia responsive element)との結合を阻害し、結果としてVEGFの発現低下を引き起こすこことをChIP assayにて示した。これまでのhuman sampleでの検討及びヌードマウスでの皮下腫瘍モデルの結果をあわせて考えると、IFNa-STAT1シグナル活性化がVEGFの発現レベルを抑制し、その結果として腫瘍増殖の抑制更には脈管浸潤の抑制の可能性を示していると考える。また、STAT1非発現下ではIFNa刺激はSTAT3活性化を介したVEGF発現亢進により逆に腫瘍増殖を引き起こす。これらの結果から腫瘍の特定の分子の発現や活性化に伴い、適切にIFNや分子標的薬を使用する必要がある。 我々が作成した肝特異的STATIKOマウスに対してConA投与により慢性的な炎症を引き起こしたところ、KOマウスにおいて有意にその炎症および線維化が抑制された。また、CC14投与によっても同様の傾向を認めた。残念ながら腫瘍の発生は認められなかった。現在この炎症及び線維化の程度に差が生じる機序を検討しているところである。他の脂肪食モデル、DDC食負荷等においても実験中である。また、Mxl-Cre、Pdx-Creを用いて他の細胞、臓器におけるSTAT1の役割を検討すべく、マウスを作成中である。
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