2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590846
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀬尾 靖 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (90362772)
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Keywords | メタボロミクス / 質量分析計 / 肝がん / 早期診断 |
Research Abstract |
病態時における細胞においては、疾患に関連したタンパク質の発現および活性の変動により、代謝・分解された新たな代謝産物が生成される。このような疾患特異的な低分子量の代謝産物を網羅的、包括的に解析した研究は、さまざまな問題から十分に成果を達成していない。研究代表者は、肝がんに発現、生成が認められる代謝産物を中心に網羅的に分析して、代謝産物の変動パターン解析ならびに肝がん特異的バイオマーカーの同定を実施し、将来的な質量分析計を用いた早期診断法の開発を目指し、本研究課題を実施した。 本研究では、肝がん患者と、肝がん発症の主原因のひとつとされている肝炎患者、そして、健康診断により健康である確認できた健常人との間で、血清中の代謝産物の比較解析を行った。はじめに、液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)を用いてメタボローム解析を進めたが、変動のあるピークを捉えることはできたものの、その分子の同定にまでは至らなかった。そこで、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いたメタボローム解析を実施した。その結果、肝がん患者特異的に変動する代謝産物、肝炎患者特異的に変動する代謝産物、肝がんと肝炎患者ともに変動する代謝産物などアミノ酸や有機酸を中心とした様々な代謝産物バイオマーカー候補を見出すことができた。肝がんの進行度の指標になる可能性のある代謝産物バイオマーカー候補については決定できなかったものの、治療効果判定に有用である可能性のある代謝産物バイオマーカー候補を見出すことができた。これらの結果は、メタボローム解析による肝がんの早期診断法の確立の可能性を示しており、今後のステップとして、実用化に向けた研究(大規模試験や他施設研究など)が必要である。
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Research Products
(2 results)