2011 Fiscal Year Annual Research Report
三重特異性抗体を用いた進行肝細胞癌に対する治療法の確立
Project/Area Number |
21590853
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 茂 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10305229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 博幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40332910)
今井 浩三 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60117603)
篠村 恭久 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90162619)
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Keywords | 肝癌 / 抗体治療 / 分子標的 / 分子改変 |
Research Abstract |
現在まで、治療法の全く確立していない進行肝細胞癌に対して、理想的な治療薬としての抗体医薬の開発を目的として本研究を行ってきた。われわれは、これまでヒト肝癌細胞において、Interferon(IFN)α/β投与によりfibroblast growth factor receptor-1(以下FGFR-1)の過剰発現が生じることを明らかにしてきた。これをふまえ、FGFR-1に対するモノクローナル抗体(以下MoAb)を独自に作成し、IFNα/βと併用し、in vitroおよびin vivoにおいて、著明な抗癌効果を明らかにしてきた。本研究では、さらに、より強力な抗癌効果を発揮するように、このMoAbに分子改変を加え、三重特異性抗体を確立し、これを実際の臨床試験へ持ち込みたいと考え研究を行った。 まず、構築した二つのベクター、すなわち、一方のベクターはヒト免疫グロブリンγ1定常領域cDNAと抗ヒトCD3モノクローナル抗体であるOKT3由来ヒト化V_L配列を組み込み、これに作製した抗FGFR-1抗体由来のヒト化V_Hを組み込んだものと、もう一方のベクターはヒト免疫グロブリンkappa定常領域cDNAとOKT3由来ヒト化V_Hを組み込み、これに抗FGFR-1抗体由来のヒト化VLを組み込んだものを、動物細胞に共発現させて安定的に抗体が得られるかの検討を行い、安定的な発現の確認ができた。次に、精製した抗FGFR-1 X抗CD3 Fc結合三重特異性抗体の活性に関する検討を行った。ADCC活性についてはヒトPBMCを用い、FGFR-1発現腫瘍細胞の細胞増殖率をMTSアッセイとLDHアッセイにて測定した。結果としては残念ながら、十分な効果は得られなかった。現在のところ、この原因として、作製した抗体の安定性の問題と考え、さらに、抗体の構造改変を行っている。
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Research Products
(1 results)