Research Abstract |
ヒト・オステオポンチン遺伝子のプロモーター領域にはnt-155,-443,-616,-1,748の4ヶ所に単塩基変異(SNPs)が存在することを見いだしている。これらSNPsのalleleの組み合わせで肝疾患の病態には差異が認められ,特にnt-155のSNPは肝病態の性差を規定する要因として注目している。そこで,オステオポンチンの転写調節に関して,その遺伝子のプロモーター領域におけるn-155のSNP近傍に結合する結合する転写因子を検討したところ,雌性細胞固有の新規転写因子が存在することを発見した。これを単離,抽出するために,その発現の調節機構に関する基礎的検討を継続中である。雄性であるHepG2細胞とLN-CAP細胞及び雌性であるMCF-7細胞とMDA-MB231細胞の核抽出物を用いて,nt-155を含むオリゴヌクレオチドとgel-shift assayを実施し,雌性細胞でのみ検出され,エストロゲン処理で増強するシグナルを認めている。このシグナルはオステオポンチンの転写に関わる雌性細胞固有の転写因子に起因すると考えられ,その単離,同定に先行して,既知の転写因子の除外を進めている。各種抗体を用いたスーパーシフトアッセイ,siRNAを用いた各種転写因子のノックダウンを進めているところである。一方,エストロゲン処理によって,当該転写因子を大量に誘導する系を確立し,単離した蛋白の解析を行う準備をほぼ完了している。なお,本研究では雄性細胞のみに認められるシグナル,両性の細胞で認められるシグナルも観察しており,前者はSRY,後者はDoxD3を想定し,雌性細胞におけるシグナルとともにスーパーアッセイ,ノックダウン実験で同定を試みている。
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