2010 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫機構による肝臓の代謝機能モデュレーションと脂肪性肝炎の病態形成機序
Project/Area Number |
21590859
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
池嶋 健一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20317382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山科 俊平 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30338412)
今 一義 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30398672)
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎(NASH) / メタボリックシンドローム / 自然免疫 / NKT細胞 / CD1d / 肝線維化 |
Research Abstract |
本研究は、脂肪性肝炎の病態下で自然免疫系細胞である肝マクロファージ(Kupffer細胞)、NK細胞およびNKT細胞が肝の糖・脂質代謝および炎症・線維化進展、肝発癌に如何に関与しているかを詳細に解析することにより、免疫学的側面からNASHに対する新たな病態進行防止および治療戦略を構築することを目的としている。前年度の研究より、メタボリックシンドロームモデルKK-A^yマウスで肝NKT細胞の量的・質的異常が脂肪性肝炎の発症・進展に寄与している可能性が示唆されたため、本年度はNKT細胞が全身性に枯渇しているCD1d-KOマウスを用い、脂肪性肝炎の発症感受性および炎症・線維化進展について解析を行った。CD1d-KOマウスではWTマウスと比較して高脂肪食負荷時の肝脂肪沈着および炎症細胞浸潤が高度に生じることが判明し、NKT細胞が脂肪性肝炎の発症制御に関与していることが証明された。また、CD1d-KOマウスはチオアセタミド(TAA)誘発肝線維化が非常に軽微で、TAA肝障害の成立および肝線維化進展に肝NKT細胞が重要な役割を演じていることが明らかになった。そのメカニズムとして、NKT細胞が産生するサイトカインによる肝内Th1/Th2系のバランス調節と、それに伴う肝マクロファージの機能変化が関与していると考えられた。以上の検討より、肝NKT細胞を主軸とした肝内自然免疫系が肝臓の代謝機能調節および炎症・線維化の両面で脂肪性肝炎の発症・進展に深く寄与していることが示唆され、NASHの治療戦略を構築する上でも自然免疫系のモデュレーションが有効である可能性が一層確かなものとなった。
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