2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590861
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
滝川 一 Teikyo University, 医学部, 教授 (70197226)
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Keywords | 胆汁酸 / トランスポーター / 有機アニオン / 胆汁流量 / 胆汁うっ滞 |
Research Abstract |
4-フェニルブチレート(4PB)は、毛細胆管膜の胆汁酸トランスポーターであるBsep(bile salt export pump)の発現を増加させることが報告されており、Bsepの分解を抑制することがその機序と考えられている。また同様に、毛細胆管膜の有機アニオントランスポーターであるmultidrug resistance protein 2(Mrp2)の発現増加作用も有すると報告されている。タウロコール酸(TC)およびスルホブロモフタレイン(BSP)の最大排泄におよぼす4PBの影響ならびにlipopolysaccharide(LPS)により低下したTCの胆汁中排泄におよぼす4PBの影響をラットで検討した。体重250gの雄性Sprague-Dawley系ラットに、4PB 1200mg/kgを2回に分け4日間経口投与した。LPSは2.5mg/100g体重をTC投与の18時間前に投与した。麻酔後開腹し胆管カニュレーションを行い、30分後に大腿静脈より[14C]TCを1.5μmol/min/100gまたはBSPを0.2μmol/min/100gで60分間持続投与した。胆汁を10分おきに採取し、TCおよびBSPの胆汁中最大排泄量を検討した。TCの最大排泄量は4PB投与で有意に増加したが、BSPの最大排泄量は変化しなかった。TCの最大排泄量はLPS投与により低下したが、4PBにより回復した。またLPS投与により低下した胆汁流量も、4PB投与により回復した。今回用いた4PBの投与量では、Bsepの代表的基質であるTCの胆汁中最大排泄量が増加し、TC投与により毛細胆管膜で増加したBsep量がさらに増加したと考えられた。これに対して、グルタチオン抱合体として胆汁中に排泄されるBSPの胆汁中最大排泄量は変わらず、この条件下ではMrp2量の増加は起こらないと考えられた。またLPSによる胆汁うっ滞では、Bsepの毛細胆管膜での発現低下が知られており、TCの胆汁中排泄の低下はこれに基づくものと考えられる。4PBはBsepの毛細胆管膜での発現増加により、LPSにより低下したTCの胆汁中排泄を増加させたと考えられた。
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