2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590861
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
滝川 一 帝京大学, 医学部, 教授 (70197226)
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Keywords | 胆汁酸 / 胆汁うっ滞 / トランスポーター / 胆汁流量 |
Research Abstract |
4-Phenylbtyrate(4PB)は、欧米などで尿サイクル異常症の治療薬として認可されている薬物であり、化学シャペロンとしても働くことが知られている。毛細胆管膜トランスポーターの中でもbile salt export pump(Bsep)とmultidrug resistance protein 2(Mrp2)は生理的に重要で、胆汁酸および抱合ビリルビンをはじめとする有機アニオンの胆汁中排泄に関与し、これらの欠損により進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型およびDubin-Johnson 症候群が発症する4PBはBSEPおよびMRP2の毛細胆管膜での発現を増加させることが報告されており、肝内胆汁うっ滞の治療に有用な可能性が示唆されている。4PBの肝内胆汁うっ滞におよぼす影響をラットで検討したところ、4PBはBsepの代表的基質であるタウロコール酸(TC)の胆汁中最大排泄量(Tm)を増加させ、胆汁流量も増加させたが、Mrp2の代表的基質であるsulfobromophthaelein(BSP)のTmには影響を与えなかった。これらの結果から、TC投与により毛細胆管膜で増加したBsep量を4PBはさらに増加させたと考えられたが、Mrp2ではこのような現象は認められなかった点から、両トランスポーターの毛細胆管膜への組込みの分子機序が異なると推定された。さらに4PBはラットにlipopolysaccharideを投与して低下したTCのTmと胆汁流量を回復させた。以上の結果から、4PBは肝内胆汁うっ滞の治療に有効と考えられ、今後、肝内胆汁うっ滞患者での検討が期待された。これらの結果をもとに現在、肝内胆汁うっ滞、閉塞性黄疸患者の胆道ドレナージ不良例および黄疸のある肝硬変患者で4PBの臨床試験が進行中である。
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