2011 Fiscal Year Annual Research Report
毒素感受性肝炎モデルマウスとバイオ人工肝臓を用いた肝性脳症惹起蛋白質の同定
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21590862
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
松浦 知和 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30199749)
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Keywords | 肝性脳症 / バイオ人工肝臓 / 肝炎モデル / マウス / ジフテリア毒素 |
Research Abstract |
本研究の目的は、劇症肝炎で致死的な脳浮腫を惹起する肝性脳症起因蛋白を同定し、その病理作用、特に脳アストロサイトの障害作用を明らかにすることである。まず、TRECK(toxin receptor-mediated cell knockout)肝炎モデルマウスを利用して、急速な脳浮腫をともなう重度肝障害を惹起した。500-1500ng/kg BWのジフテリア毒素の腹腔内投与によって、48時間後には、血清トランスアミナーゼは10,000IU/Lまで増加し、黄疸も出現し、肝不全となった。平成22年度には、脳症の評価を、小動物用MRIで検討し、TRECKマウス急性肝不全モデルにおいて、び漫性の細胞内浮腫を証明することができた。肝性脳症起因蛋白に関しては、肝不全動物血漿のプロテオーム解析から候補蛋白が選定された。平成23年度は、選定された脳症惹起蛋白候補Aを培養アストロサイトに添加して、アストロサイトへの影響を確認した。濃度依存的にアストロサイトのviabilityは低下した。一方、脳症惹起蛋白候補Aは、体外循環型バイオ人工肝臓にもちいたヒト肝癌細胞FLC-4のviabilityには影響しなかった。今後、埋め込み型バイオ人工肝臓装着TRECK肝炎モデルマウスを作製し、致死量ヒトジフテリア毒素による宿主肝臓破壊によって惹起される脳症が、バイオ人工肝臓によって予防または改善されるかMRIで確認する。・さらに、脳症惹起蛋白候補Aの動態を明らかにし、脳症起因蛋白候補Aが実際に「急速な脳浮腫」を惹起するか検証実験を行う。
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