2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590865
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
佐田 通夫 Kurume University, 医学部, 教授 (10162398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 巧 久留米大学, 医学部, 講師 (00320177)
谷口 英太郎 久留米大学, 医学部, 助教 (50341318)
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Keywords | 酸化型アルブミン / 還元型アルブミン / 肝細胞癌 / C型肝炎ウイルス / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本邦の肝細胞癌の主な原因であるC型肝炎ウイルス(HCV)は様々な機序で酸化ストレスを増加させ、細胞内シグナル伝達を活性化することで肝発癌を引き起こす。このため、生体内最大の抗酸化物質であるアルブミンは肝発癌に深く関与していると考えられる。アルブミンは酸化還元状態から、N末端から34番目のSH基がフリーの状態で存在する「還元型アルブミン」と、SH基にシステインやグルタチオンが結合した「酸化型アルブミン」とに分類される。抗酸化作用のない酸化型アルブミンの増加は様々な慢性疾患の病期進展に関与することが報告されているが、酸化型アルブミンと肝癌発症との関連については未だ明らかではない。そこで、今年度、我々は、肝発癌と酸化型アルブミンの関連について臨床的検討を行った。インフォームドコンセントの得られた慢性肝疾患を対象に、診療のため採取した血液の残血清を用い、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて酸化型アルブミンを測定した。肝癌患者と非肝癌患者の間に酸化型アルブミンの有意な差は認められなかったが、酸化型アルブミンは慢性肝疾患の重症度の指標であるChil-Pugh分類および慢性肝障害予後予測因子であるMELD(model for end-stage liver disease)scoreとの間に有意な正の相関を認めた。さらに、酸化型アルブミンは肝硬変患者の身体所見である浮腫・腹水の合併および体組成測定機器によって測定した体水分貯留(細胞外液量/体水分量)との間にも有意な正の相関を認めた。本研究結果より、酸化型アルブミンは肝細胞癌の発症母地である肝硬変の病期進展とともに増加することが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)