2010 Fiscal Year Annual Research Report
進行膵癌の幹細胞ならびにEMT化癌細胞を特異的に老化誘導させる治療法の開発
Project/Area Number |
21590870
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Research Institution | Miyagi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
佐藤 賢一 宮城県がんセンター(研究所), 臨床研究室, 室長 (10282055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 晋 東北大学, 病院, 医員 (20451560)
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Keywords | 膵癌 / miR-126 / ADAM9 |
Research Abstract |
癌幹細胞としての性質はEMTによってもたらされる可能性があること、つまり、EMTが誘導されている細胞は癌幹細胞と同義と考えられること、膵癌ではras遺伝子の活性化によって誘導される細胞老化誘導シグナルが抑制されている可能性があるという事実に着目し、以下のことを計画した。1)膵癌のEMTを特異的に誘導する分子やそれを制御するmicroRNA(miRNA)を同定する、2)膵癌化において抑制されている細胞老化誘導シグナル機構を解明する、3)最終的に膵癌幹細胞特異的に細胞老化を誘導する治療法を開発する。 本年度は、EMTを制御するmiRNAを同定するために、膵管内乳頭粘液腫瘍と膵癌組織の組織標本より腫瘍部のみをマイクロダイゼクションにて削りだし、miRNA arrayを行った。その結果膵癌で特異的に発現低下の認められるmiRNAとしてmiR126を同定した。 膵癌細胞株Panc-1およびASPC-1にhsa-miR-126を再発現させたところ、E-cadherinの発現上昇とN-cadherinの発現低下がみられ、細胞遊走能と浸潤能が低下した。以上の結果は膵癌細胞においてMesenchymal-epithelial transitionを引き起こしたものと考えられた。データベース検索によりhsa-miR-126の潜在的な標的としてADAM9が同定された。hsa-miR-126の再発現はADAM9発現を抑制し、またADAM9ノックダウン自体も膵癌細胞の遊走能と浸潤能を低下させた。以上のことから、膵癌の浸潤に際し、hsa-miR-126の発現低下が重要な役割を果たすことが明らかとなった。細胞接着に関わる分子であるADAM9は新たなhsa-miR-126の標的であることが判明した。
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