2011 Fiscal Year Annual Research Report
進行膵癌の幹細胞ならびにEMT化癌細胞を特異的に老化誘導させる治療法の開発
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21590870
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Research Institution | 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
佐藤 賢一 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 部長 (10282055)
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Keywords | 膵癌 / miR-126 / EMT |
Research Abstract |
癌幹細胞としての性質がEMTによってもたらされる可能性がある。EMTが誘導されている細胞は癌幹細胞と同義とみなされ、また、膵癌ではras遺伝子によって活性化する細胞老化誘導シグナルが抑制されている可能性があるという事実に着目し、以下のことを計画した。1)膵癌のEMTを特異的に誘導する分子やそれを制御するmicroRNA(miRNA)を同定する、2)膵癌化において抑制されている細胞老化誘導シグナル機構を解明する、3)最終的に膵癌幹細胞特異的に細胞老化を誘導する治療法を開発する。 昨年度は、EMTを制御するmiRNAを同定するために、膵管内乳頭粘液腫瘍と膵癌組織の組織標本より腫瘍部のみをマイクロダイゼクションにて削りだし、miRNA arrayを行った。その結果膵癌で特異的に発現低下の認められるmiRNAとしてmiR126を同定し、膵癌の浸潤に際し、hsa-miR-126の発現低下が重要な役割を果たすことを明らかにした。 本年度は、上記miRNA arrayの結果上昇しているmicroRNAを2つ同定した。一つのmiRは膵癌患者血清中でも非膵癌患者に比べ有意に高い発現を認めた。症例数が少ないためか現在までの解析では、その発現程度と膵癌進展との関連はみられなかった。もう一つのmiRは膵癌細胞株Panc1、ASPC1に強制発現させると上皮系のマーカーの発現低下と間葉系マーカーの発現上昇がみられるようになりEMTが誘導されることが判明した。この結果を支持するように、in vitroでの解析では、このmiR過剰発現が膵癌の浸潤能を亢進させていた。
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