2011 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌組織中に存在する骨髄由来細胞の網羅的発現解析とそれを標的とする治療法の開発
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21590871
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
廣田 衛久 東北大学, 病院, 助教 (70400364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 晋 東北大学, 病院, 医員 (20451560)
菅野 敦 東北大学, 病院, 助教 (70509190)
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Keywords | 膵癌 / 骨髄由来細胞 / 慢性膵炎 / グリーンマウス |
Research Abstract |
平成23年度は、前年度までに確立した動物実験系を用い、検体を採取、網羅的な解析系へと進行することである。生後7週齢のグリーンマウスの骨髄細胞10,000,000個を抽出し、7Grayの放射線を照射した生後8週のC57BL6マウスに尾静注することにより骨髄移植した。FACS解析で骨髄置換されたキメラマウスが作製されたことを確認した上で、このマウスの膵尾部にDMBAを1mg注入することにより、注入から3ヶ月後には脾臓等周囲の臓器に浸潤する膵腫瘍が形成される。この腫瘍は紡錘形の肉腫様変化をした低分化な癌で、癌細胞を取り巻く強い線維化を認めた。さらに癌病巣の周囲に過形成や異型腺管といった前癌病変も認めた。癌組織を免疫組織学的に検討したところ、癌組織中の細胞の半数がGFP陽性の骨髄由来細胞であった。これらの細胞はCK19陰性、αSMA陰性、vimentin陰性であったが、一部にCD31あるいはCD68陽性細胞を認めた。前年度までにこれらの腫瘍を摘出し、更なる組織学的解析、及び本年度は腫瘍から骨髄由来細胞をソーティングし、遺伝子発現プロファイルを行う予定であった。しかし、2011年3月の震災にて、動物実験施設が使用不可能となったこと、また保存用の冷蔵庫が壊れ、保存していた検体が全て失われたことにより、事実上実験が行えなくなった。 本年が本研究期間の最終年であり、確認実験を行うことができないため本研究自体での論文報告はできなかったが、本研究を行ったことにより得た知見から派生した臨床研究と、in vitroの実験を行い学術論文として掲載された。臨床研究は、膵炎における膵実質の血流を、Perfusion CTを行うことにより解析し、膵の慢性炎症である自己免疫性膵炎では明らかに血流速度が低下していることを示した。In vitroの実験では、我々が以前から注目していたMSX2の下流でABCG2が膵癌細胞の抗がん剤耐性に関与することを突き止めた。
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Research Products
(2 results)