Research Abstract |
平成23年度はPolyhydroxybutyrate(PHB)の急性膵炎モデルにおけるBacterial translocation抑制の有無を,さらに実際の病態に近い中心静脈栄養(CVC)下の状況で確認することを目的とした.7週齢のSPF-Wistar系雄性ラットに空腸痩を作成し,さらに右頚部からCVC;時間当たりブドウ糖0.16g,塩化ナトリウム2.65mg,酢酸カリウム1.96mg,燐酸二水素カリウム1mg,硫酸マグネシウム0.67mg,グルコン酸カリウム1.62mg,硫酸亜鉛5.23mg,囓歯類必須アミノ酸含有とした.PHB群はCVC1日後からホモゲンにて分散・安定化させたPHB1.25g含有粉末懸濁液を1日2回経空腸投与した.コントロール群はホモゲン分散液のみ投与した.4.5g/kg体重の滅菌1-アルギニン-塩酸塩を単回腹腔内投与して急性膵炎を作成した.8日目に屠殺し,回腸・盲腸・直腸・盲腸内容物を採取し,糞便中のH_2O,NH_3,コハク酸,乳酸,ギ酸,酢酸,イソ酪酸,プロピオン酸,酪酸,吉草酸,イソ吉草酸,腸管内容物重量,盲腸内pHを測定した.屠殺1時間前にBrdU 20mg/kg体重を静注した.CVC挿入下に急性膵炎モデルにおける生存分析において,PHBの致命率低減効果が示された.小腸・大腸の増殖/アポトーシスの変動の検討では,PHB投与群で小腸増殖帯におけるBrdU LIの増加と大腸TUNEL陽性細胞の低下が示された.血清MIF濃度は全経過で有意な変動はみられなかったが,PHB投与群で腸間膜リンパ節の大腸菌感染が有意に低率であった.CVC下でPHBは糞便中有機酸組成に変動を与えなかったが,T-RFLP法でClostridium sp.の占拠割合の減少が認められた.
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