2009 Fiscal Year Annual Research Report
消化器固形癌に対するキメラ型細胞融解性ウイルスとそのキャリアー細胞による治療
Project/Area Number |
21590879
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
川村 希代子 Chiba Cancer Center (Research Institute), がん治療開発グループ, 主席研究員 (80260248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 雅敏 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ, 部長 (20171572)
山口 武人 千葉県がんセンター(研究所), 医療局, 診療部長 (00241969)
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Keywords | アデノウイルス / 転写調節 / 膵がん / 抗がん剤 / 塩酸ゲムシタビン / ペメトレキセド / Geldanamycin |
Research Abstract |
膵がんをはじめとする消化器固形腫瘍はしばしば抗がん剤耐性であり、当該疾患の予後の改善はがん医療における重要な課題である。そこで生体防御反応である免疫応答を阻害せず局所の腫瘍を破壊するために、腫瘍に特異性を有して増殖するアデノウイルスを開発し、当該遺伝子医薬の有用性を確認しようとした。SV40 T抗原の転写活性化よりも高い活性化能を有する転写調節領域を用いて、アデノウイルスの初期遺伝子で同ウイルスの増殖、および感染細胞をS期に移行させる遺伝子群の発現を制御できる組換え型アデノウイルスを作製した。これらのウイルスは各種ヒト膵がん細胞の細胞死を誘導し、コントロールのウイルスと比較して殺細胞効果を有していた。さらに、受容体結合領域のみを従来のタイプ5型から35型へと改良したウイルスも作製した。そこで、改良型と従来のタイプ5型の細胞傷害活性を比較すると、膵がん細胞では用いた転写調節領域によらず、すべての種類のウイルスで35型と改良したウイルスの方が、同等が多くの場合より高い細胞傷害活性を有していた。そこで抗がん剤との併用によって、抗腫瘍効果が増強するかどうかを検討した。その結果、塩酸ゲムシタビン、ペメトレキセドとの抗がん剤との併用では、相加効果がなかったが、熱ショック蛋白90の阻害剤であるゲラダラマイシンgeldanamycin(GA)との併用によって相加効果が得られた。しかし、同薬剤の誘導体である 17-allylamino-17-demethoxy GAや17-dimethylaminoethylamino-17-demethoxy GAとの併用効果は僅かであり、GAとの相加効果の機序については今後検討を要する。
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Research Products
(2 results)